活動報告

2016.10.12  伊藤祐司議員の討論全文  


 日本共産党の伊藤祐司です。会派を代表して、通告いたしました議案、修正案、請願について討論いたします。

 日本経済はいま、その6割を占める個人消費が戦後はじめて2年連続のマイナス。家計消費も12ヶ月連続マイナスが続いています。安倍総理が言い立てる「経済の好循環」が生まれるどころか「アベノミクス不況」というべき状態です。28兆円を超える大規模な「経済対策」を打ち出したこと自体、経済の悪化つまりアベノミクスの破綻を示しています。

 わが党は、中小企業への直接支援と合わせた最低賃金の1000円以上への引き上げや子育て、介護の充実など家計を暖める対策を提案していますが、政府の「経済対策」の中身はリニア新幹線への巨額の公的資金投入をはじめ大型開発へのバラマキ。失敗が証明済みの施策ばかりです。

 第139号「一般会計補正予算」は、そのバラマキの受け皿となるものです。130億円余の大型補正のうち公共事業が98億円。その中身も、わが党がかねてから批判してきた不要不急の幹線道路建設などが大半を占めます。このような旧態依然としたやり方では、県民の家計を暖めることは到底できません。国の悪政下請けの公共事業中心の補正には反対です。

 この補正予算には、赤城山での木質バイオマス発電所計画にからみ、木質チップの輸送車両2台分の補助金2200万円が計上されています。同計画には放射性物質の拡散や環境の悪化を心配する周辺住民から強い反対の声が上がり、12000人の反対署名も集まっています。事業体である東電の子会社は、住民への説明責任を果たしているとはとても言えません。住民からは県に対して環境影響評価などで質問状が来ていたのに「係争中」を理由に門前払いしています。県はいったい誰の味方なのか。少なくとも住民の納得のいく説明がなされるか、妥協点が見いだされるまでは、そうした施設は造らせるべきではないし、補助金など先延ばしにするのが当たり前ではないでしょうか。

 また、同補正には、高崎競馬場跡地へのコンベンション施設建設へ実施設計の委託費が盛り込まれています。先日、千葉県にある幕張メッセが、東京オリンピックに向けて160億円の大改修に入ることがニュースとして伝わりました。県と千葉市の事業だそうです。幕張メッセは東京ビックサイトなどに需要をとられて稼働率4割台。赤字の穴埋めのために県と千葉市が21年間で364億円も支出しています。高崎よりも遙かに条件のいい場所でも苦戦しているのです。

 高崎市が8月におこなったコンベンション施設建設に伴う都市計画の線引き変更の公聴会では、交通渋滞や環境の悪化を懸念して9人の市民が意見を述べましたが、全員がコンベンション施設建設反対の立場でした。
 そうした声に耳を貸さず「オリンピックまでに建設」という県のやり方は拙速そのものです。施設建設についてやみくもに突き進むのではなく、いったん立ちどまり、県民の意見をよく聞き、経済情勢や需要をよく見極め、コンベンション誘致の経験も積んで、本当に必要な施設なのかを検証する――それができる最後のチャンスが今です。実施設計を急ぐ補正に反対です。

 一方、リベラル群馬から出された、同設計の委託費を削り、総務管理費のなかに組み入れる修正案は、わが意を得たり。大賛成です。

 次に事件議案について触れます。
 第141号「国民健康保険運営協議会条例」は、国民健康保険の運営を県単位に広域化するための準備です。
 政府が理不尽に国保への国庫負担を大幅に削るもとで、被保険者の負担は増え続け、1割近い世帯が税を払いきれずに滞納している現状です。そうした元で、地域の実情を勘案して、一般会計からの繰り入れや税額調停のやり方で低所得者の負担を極力減じる市町村も少なくありません。顔が見える規模の運営だからこそです。
 ところが規模が大きくなってくると、前橋市のように強権的な取り立て・差し押さえが横行するなど、一律の冷たい運営が目立ってきます。広域化となれば、住民の実情を勘案した運営はしにくくなり、一律の冷たい運営に拍車がかかることも懸念されます。また、医療計画を立てるのも、保険業務を仕切るのも県となりますから、診療抑制への力が働き、県民にとって医療が受けにくくなることも懸念さます。
 県は協議会の委員選任について様々な立場からの人選をいいますが、ほとんどが当て職で公募をするかどうかもわからない、というのでは行政を追認するだけの協議会になりかねません。国保広域化に反対する立場から同意できません。

 第142号議案は、マイナンバーからみで、扱う自治体の範囲をひろげるものです。未だにナンバーが届いていない世帯が県内に16000世帯もあるとの報道がありました。個人情報の漏洩の心配も払拭されていません。決まったことだと次々すすめるのは賛成できません。

 第148号は「八ッ場ダムの建設に関する基本計画変更の承認案」です。
 3年前、前回の基本計画変更にあたって私たちは、現地の地質の脆弱性や東電への減電補償などに触れ、「事業費の増額は必至の情勢である」と指摘しました。今回の変更は、私たちの指摘どおりであります。
 知事は「熟慮に熟慮を重ねた」といい、当局は1都5県で検証したといいますが、検証になっていません。11カ所必要だと言われた地滑り対策が6カ所に減らされました。試験湛水で滑れば工期は数年単位で伸び、莫大な事業費がまたかかるでしょう。松谷発電所の水利権更新で八ッ場ダムの目的からは外れたはずの吾妻渓谷の流量維持の負担は宙に浮いたまま、東電の減電補償のための予算は桁が違う等々、検証の必要な事項はいくつもあります。
 八ッ場ダムは、利水面でも治水面でも必要性が薄れるばかりか、その建設費が他の治水事業推進の足かせとなり、水道料金値上げの原因となっています。そもそも災害を誘発させかねないダムです。計画変更には同意できません。
 尚、リベラル群馬から、これ以上の県費負担には応じられない旨を記す変更案が出されています。国は、これまでも必要な工事を隠し、小出しに計画変更して参加自治体に負担増を強いてきました。こうしたやり方を許さない趣旨の修正案は理解できます。
 しかし、基本計画承諾を前提とした修正であり、ダム建設そのものに反対する立場から同意できません。

 第149号は「県保健医療計画の変更」です。
 今回の「変更」は、政府が、病床から在宅に患者を追い出し自助・共助を優先させる安上がりな医療・介護をねらって成立させた「医療介護総合確保促進法」にそって進められているものです。当局は「住み慣れた地域で安心して療養できる環境の整備」といい「病床数削減の目標ではない」といいますが、構想が示す必要病床数は、たとえば吾妻医療圏で現在の42%へと半分以下となる大幅な減少。「安心して療養できる環境」とはほど遠いものです。このような変更にはとても賛成できません。

 残余の議案についてはかねてからの理由により反対いたします。

 請願についてです。
 産経土木6号は住宅リフォーム制度の創設を求めています。この制度は高崎市で大成功し県内24市町村に広がっている制度です、市民にも業者にも大変好評、高崎市も当初3年間だった期限を延長し続けています。市内の中小業者の仕事を増やし、経済効果も抜群です。
 住宅リフォームや類似制度は、県段階でも秋田、山形、福島、静岡、高知などが実施しています。なのに、ろくな議論もなしに「実施困難」と不採択にするのは、やる気も見識もないものです。採択を求めます。

 文教警察9号は「奨学金制度の充実」を求める請願です。
 現在の奨学金の大半は、奨学金の名を騙る「学生ローン」です。卒業したとたんに数百万の借金を背負ってしまう。不況の中で生活に苦しむ若者が急増して社会問題になっている。請願が求める「給付型奨学金」や「無利子奨学金」の創設・拡充は当然の願いです。そうした苦しみに寄り添うことなしに「実施困難」というのはあまりにも冷たい。採択を主張します。

 総務企画8号は「治安維持法犠牲者国家賠償」を求める請願です。
 治安維持法は戦前、戦争を遂行する態勢を維持するためにつくられた国民弾圧の悪法です。戦争反対、主権在民を唱える国民を次々と捕らえ、迫害しました。多くの日本共産党員もその犠牲となりました。
 自民党は昨年の第3回後期議会で、「治安維持法の罪を犯した者は赦免され、恩給の受給資格などは復権を果たしている」としましたが、請願者が求めているのは、国家としての正面からの謝罪であり賠償です。
 いま、現代の治安維持法と言われる秘密保護法がつくられ、安保法制のもとで自衛隊の海外派兵の準備が着々とすすめられています。これまで継続審査としていた請願を不採択にするのは、あらためて戦争反対の世論を弾圧しようとする気持ちの現れでしょうか。
 不採択に強く抗議し、採択を求めます。
 以上で討論を終わります。


日本共産党群馬県議団

〒371-8570
群馬県前橋市大手町1-1-1

TEL 027-226-4170
FAX 027-226-6550