活動報告

 2017.06.16  第2回定例会/反対討論全文

 日本共産党の酒井宏明です。会派を代表して、通告してあります議案および請願について委員長報告に反対の立場から討論を行います。

 88号は個人番号いわゆるマイナンバーの利用事務を追加する条例改定です。政府はマイナンバーの普及・徹底に血眼になっていますが、マイナンバーカードの保持者は対象者全体の1割に届きません。国民が「利便性」を感じるどころか、情報漏えいの危険性や国による個人情報の管理強化に根強い不信感を抱いていることを如実に示しているのではないでしょうか。しかも、マイナンバーカードはこの1年間で県内だけでも2863枚の遺失届が提出されるなど、紛失が相次いでいます。事業所や自治体からの漏えいも後を絶ちません。マイナンバーの利用を拡大しようとすればするほど、紛失や情報漏えい、なりすましなど犯罪のリスクが高まります。利用拡大と個人情報の保護は相反します。したがって、マイナンバーの利用を拡大する本議案に反対です。
 89号、多々良沼公園に指定管理者制度を導入する議案です。指定管理者制度導入は、コスト縮減などから安易に導入するならば、そこで働く職員の雇用状況を悪化させるばかりか、法律の遵守もままならない事態を生みかねず、全体として県民サービスの低下をもたらしかねないものです。こうした点から、新たに指定管理者制度を導入する本議案に反対です。

 次に、請願についてです。
 文教警察2号は学校給食費の無料化を求める請願です。学校給食は、食事のあり方や食文化を伝える「食育」として重要な教育の柱の一つとなっています。現在、小中学校の給食費をすべて無料化しているのは8市町村、一部無料化や助成を含めると20市町村にのぼります。「義務教育は無償」という憲法26条の精神を生かすならば、すべての子どもの給食費を無料にすべきであり、本請願の採択を求めます。
 総務企画11号は、所得税法56条の廃止を求める請願です。中小企業の家族従事者に労働の対価として正当な報酬・給料を必要経費として支払うことは国際的にも常識となっており、自家労賃を認めない所得税法56条は廃止すべきものです。全国で約400自治体、群馬県内では8つの自治体が意見書を提出しています。中小業者の切実な要求であり、不採択に反対し、採択を求めます。
 37号は共謀罪法案の廃案を求める請願です。「テロ等準備」罪と名前を変えただけで本質的な中身は全く変わらない共謀罪法案は15日朝、参院本会議で自民・公明・維新などによって強行されました。深夜から早朝にかけて、数を頼んで強行する。しかも、緊急時など限定的に認められた「中間報告」という手続きを悪用し、委員会から審議権を奪い取る。まさに、議会制民主主義を根底から破壊する暴挙であり、断じて許すわけにはいきません。満身の怒りを込めて抗議するものです。
 背景には、審議をすればするほど共謀罪の抱える問題点が浮き彫りとなり、国民の反対が急速に広がっていることに加え、森友学園や加計学園の疑惑で追いつめられる政府・与党の焦りがあったのは明らかであります。国連の人権問題特別報告者、ジョセフ・ケナタッチ教授が懸念を表明したように、同法が、「何をしたら罪に問われるか」犯罪の構成要件があいまいで、捜査機関の一存でいくらでも広げることができ、結局は人の心の中、内心を処罰するという重大な人権侵害をもたらすものであることは明白です。テロ対策とか、国際組織犯罪防止(TOC)条約の締結のためという口実も完全に破たんしています。
 日本弁護士連合会や日本ペンクラブ、学者・文化人、ジャーナリスト、そして多くの市民が反対の声をあげています。群馬弁護士会も2月に「恣意的な捜査による市民生活に不当な介入を許容することになる」と反対の声明を出しました。また、三重県議会は今月12日、同法案の衆院採決に抗議し、慎重審議を求める意見書を可決。宮崎県議会も3月に慎重審議を求める意見書を可決するなど、地方議会からも反対の声が相次ぎました。こうした国内外の批判や異論を封殺し、監視社会に道を開く違憲立法、共謀罪法の強行採決に強く抗議し、速やかな廃止を求めるものです。以上の理由から、本請願の不採択に断固反対するとともに、日本の政治に立憲主義、民主主義、平和主義を取り戻す決意を改めて表明し、私の討論といたします。


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