活動報告

2018.10.10 議案、請願審査結果に対する反対討論全文  

 日本共産党の酒井宏明です。会派を代表して通告してあります議案および請願について、委員長報告に反対の立場から討論します。

  144号議案は、ぐんま緑の県民税を5年延長する条例改正です。
 県が今年3月に実施したアンケートでは、緑の県民税について、「名称、税額、使い道ともに知らない」が57%、「名称は知っているが、税額や使い道は知らない」が23%、合わせて8割にのぼります。
 奥山の整備や間伐材の搬出など、その目的自体は理解できますが、県民等しく年額700円を特別に課税することが県民の理解を得ているとはいえません。
 本来、温室効果ガスを多く排出する企業に炭素税のような形で課税すべきです。国が森林環境税を導入しようとする中で、まさに二重課税になる懸念もあり、ますます納税者の負担が重くなります。よって5年延長する条例改正には反対です。

 148号議案は、養護老人ホームの設備運営に関する基準を緩和する条例改正です。
 主任生活相談員や看護職員を現行一人以上常勤とするものから、パートでも可能と変更するものですが、こうした人員基準の緩和は職員のいっそうの労働強化につながりかねないものであり賛成できません。

 153号議案は、群馬コンベンションセンターについて指定管理者を指定するものです。
 知事はコンベンションセンターの建設を「本県人口減少対策の要」と豪語し、新たな雇用を生み出すとしていますが、今回の指定管理の候補をみると、代表企業は東京に本社のある大手の運営会社、3つの構成企業のうち1社がやはり東京に本社のある大手の企業です。
 結局、これでは県内で新たな雇用を生み出すのは望み薄ではありませんか。管理運営を民間に丸投げして、県にノウハウが蓄積できないような指定管理者の指定には反対です。

  154号議案は、上信自動車道の橋梁工事に関する請負契約の締結についてです。
 人口減少がすすみ交通量が顕著に減っている地域であり、今後さらに莫大な税金を投入して、高規格道路をつくるよりも、コミュニティバスやデマンドタクシーなど公共交通の拡充へ回すべきであります。

 次に請願についてです。
  厚生文化28号は、受動喫煙の防止に関する健康増進法についての請願です。
 要するに、税金を使って喫煙環境を整えてほしいというものです。公衆の集まる場所での全面禁煙という世界の流れに逆行するものであり、認められません。
  国立がん研究センターによれば、受動喫煙による肺がんリスクは、受けていない人の1・3倍。受動喫煙を原因とする国内の死亡者は毎年1万5000人、交通事故死の4倍にのぼります。厚生労働省の研究によれば、受動喫煙による医療費の増加は、年間3000億円を超えています。
  7月に成立した改正健康増進法は、「第6章 受動喫煙防止」を新設しました。いままで努力義務とされてきた受動喫煙の防止を罰則付きの規制とした点では一歩前進であるものの、屋内完全禁煙からはほど遠く、国際的責務を果たしたとは言えません。学校や病院などにおいては、屋外に喫煙場所を設置することにより敷地内の喫煙が可能で、子どもや患者の受動喫煙が避けられず、近隣住民にも影響を及ぼします。また、既存飲食店の半分以上が屋内原則禁煙の例外とされ、喫煙専用室での喫煙も可能で、従業員の受動喫煙防止策がありません。政府自ら掲げた目標である喫煙室なしの屋内完全禁煙から、大きくかけ離れたものです。
 いま求められているのは、県庁や県議会も含め、公衆が集まる場所での屋内全面禁煙であり、医療機関や学校の敷地内禁煙を罰則付きで定めた法律の制定こそ喫緊の課題です。 よって、本請願の採択に反対します。

 環境農林30号 原発依存のエネルギー基本計画の撤回などを国に求める請願です。
 原水爆禁止群馬県協議会をはじめ、52団体から提出されたものです。
 安倍政権は新たなエネルギー基本計画のもとで、原発を次々と再稼働し、日本を原発依存社会へと逆戻りさせようとしています。今世界では、温暖化対策をはじめ持続可能な社会への転換のために、エネルギー政策の柱を省エネルギーと再生可能エネルギーに移しています。原発や石炭火力の推進に固執する「基本計画」はこうした世界の流れに逆行するものです。原発を動かせば処理の見通しのない核のゴミを増やすだけです。基本計画を撤回し、再生可能エネルギーをエネルギー政策の柱に据えるよう政府に働きかけることは当然の願いです。
 また、高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉に見られるように、破たんが明確となった核燃料サイクルから撤退すべきです。 柏崎刈羽原発と東海第二原発の再稼働が狙われていますが、万が一過酷事故を起こせば、群馬県への影響ははかりしれません。再稼働を断念し、稼働中のすべての原発をすみやかに停止するとともに新増設を中止するよう政府と電力会社に働きかけることを強く求めます。
 最大震度7の地震が北海道を襲ってから1カ月余り。道内全域に及ぶ停電「ブラックアウト」が引き起こされ、いまだに市民生活に甚大な影響を与えています。ブラックアウト発生の背景には、「泊原発の再稼働に固執し、一極集中の電力供給を続けた北海道電力の経営姿勢がある」との指摘や、「泊原発の再稼働ありきで老朽化した火力発電所への対応が怠られていた」との批判もだされています。 原発に依存したエネルギー政策を根本的に見直すべきであり、たった1回の議会で、不採択にするなど言語道断です。採択を強く主張します。
 以上で、私の反対討論を終わります。

日本共産党群馬県議団

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