活動報告

2019.10.10 災害復興に向けて自治体がすべきことは 専門家招き学習会  

 大規模災害による「関連死の増加」。その原因のひとつとして「避難所の環境」が指摘されています。隠れた被災者=在宅被災者や、仮設住宅、復興まちづくりの問題点も各地の災害を通じて浮き彫りになっています。県議団は10日、これらの改善に向けて、いま自治体がすべきことは何かを考えようと、都市計画、建築計画の分野で、国内外の災害における避難所や、仮設住宅をはじめとした住宅復興の実態を調査し、災害復興に役立てようと研究・提言を続けている神戸大学名誉教授の塩崎賢明氏を講師に学習会を開きました。
 塩崎氏は、災害対策基本法の制度上、災害対応の第一義的責任は市町村など自治体が負うことになっている一方で、自治体にはマンパワーや財源、知見等、その責任を担えるだけの力量がないこと、こうした中で、災害の復旧復興過程でも、▽住む家がなくなる▽関連死・関連疾病▽孤独死といった復興災害が相次いでいると指摘しました。
 さらに、復興災害の主な原因は避難所生活や避難所への移動における肉体的・精神的疲労にあるとのデータを示し、「どう減らすのかという、制度的な枠組みはほとんどない。出たとこ勝負≠フ状態だ」と指摘しました。会場のスクリーンには、1930年の北伊豆地震の時に撮影された避難所の写真と、阪神淡路大震災(95年)、東日本大震災(2011年)、熊本地震(16年)の避難所の写真が並べて表示され、床に薄い敷物を敷いて雑魚寝をしている光景が90年前とほとんど変わっていない様子に、参加者から驚きの声があがりました。
 塩崎氏は、簡易ベッドやテーブルでの温かい食事の提供、トイレ・シャワーのユニットが設置された欧米の避難所の様子を紹介し、「日本の避難所・避難生活の状況は即刻改善しなければならない人道上の危機だ」と強調。まず、トイレ、温かい食事、簡易ベッドといった改革が必要だと述べました。
 仮設住宅の提供や被災住宅の再建の問題についても、イタリアやインドネシアの具体的な事例を示し、それぞれの生活に合った住宅を自由に再建するための支援が必要だと指摘。被災者生活再建支援制度についても、全ての被災国民の生活を守るために、対象の拡大や支援金増額といった法律改正が必要だと強調しました。
 その上で、「現状のまま巨大災害を迎えた場合、莫大な資金投じても生活再建ができない、関連死が後をたたない」と指摘。現状を変える復興制度の改善策として、▽避難所の生活環境の劇的な改善▽仮説居住の改善、自力仮設への資金投入、様々な仮設住宅の容認▽被災者生活再建支援金の大幅増額▽仮説住宅を恒久住宅に直結させる仕組み▽防災・復興省の創設―といった、災害後の復興に備えるシステムづくりの必要性を強調しました。
 

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