第14回スポーツ少年団指導者研究大会参加記録

新町SVCスポーツ少年団                代表指導者 小出利一

特別講演 「子どものライフハザード」

 今年の研究大会の特別講演を一言で表現すると「厳しく、楽しく、難しい課題を明確でわかりやすかった。」となります。
 中村先生の「現在の小3のスポーツ動作能力は、85年当時の5歳児と同等」は、現場で指導していて感じていたことを数値データで示され、小学生に対する指導方法を常に工夫する必要性を感じた。
 幼児期から小学生時期のスポーツ活動の2種類の2極化(スポーツをする子どもとしない子ども・単一種目のスポーツのみを体験している子どもと複数種目を体験している子ども)も、スポーツ少年団指導者が地域と一緒になって指導方法を工夫する必要があると感じ、現在の年間プログラムを総合型地域スポーツクラブと連携して実施している内容に間違えがないことを確認できた。
 神山先生は、今回の特別講演の演題を考えた方であり、その内容に引き込まれました。
是非、神山先生の「睡眠について」講演を保護者に聴いてもらいたいと感じました。
 「早起き脳が子どもを伸ばす」これは、自分の息子の行動パターンからも良く理解できます。早寝して朝食をしっかりと食べて、早寝していた息子は、いつも穏やかで集中する時は集中する能力がありました。この原油高の世の中、神山先生の言葉どおりに少し不便でも日本の子ども達のために「全てのショッピングセンター・コンビニの24時間営業を禁止」すること進めるべきだと感じました。不便だからといっても夜中に絶対に買い物する必要があることが1年にいったい何回あるでしょうか?変則勤務の人達は困るといった意見もあるでしょうが、本当に困るでしょうか?お店が開いているからそれに合わせた生活時間に大人がして子ども達のことを忘れていると思います。2年前のドイツのスポーツクラブで6歳と7歳の保護者から聞いた話「6歳児や7歳児は、夜9時には絶対に寝せます。当たり前ですよ、遅くまで起きていたら翌日学校でしっかり勉強できなくなります。それに、大人の都合で夜10時過ぎまで子どもを起しておくのは犯罪行為と同じです。」を思い出しました。
 瀧井先生は、ルポライターとして父親としての視線で子ども達のライフハザードと取材して特に「食育」を中心にした話は興味深い内容でした。
特に、ニワトリ症候群(コケッココ=孤食・欠食・個食・固食)による子どもの精神育成の未発達の話は大人がとして考えさせられる内容でした。
 秋葉原の事件のように「誰でも良かった」と自己中心的に殺人を犯す人間を結果としてたくさん育てしまった現在の日本の生活様式を見直す良い講演と感銘しました。
【県指導者協議会副委員長としての感想】
 最近、本県から全国指導者研究大会への参加者が少ないようです。群馬県は沖縄県などと違い、非常に近い場所で開催されている優位性をもう一度感謝して、なるべくたくさんの指導者のみなさんが参加することを要望します。参加して新しい情報を得て、それを各地域で活かす活動を是非、お願いいたします。スポーツ少年団指導者が偏ったスポーツ概念と古い情報で指導することは危険かもしれません。



A分科会「スポーツ少年団と総合型地域スポーツクラブ」

− 単位スポーツ少年団の限界とその克服への道 −

新町SVCスポーツ少年団                代表指導者 小出利一

 スポーツ少年団と総合型地域スポーツクラブについての分科会は第3回から継続して開かれている。新町の場合、最初からこのモデル地区として全国から注目を浴びて現在も視察の方が新町を訪ねていただける。
 座長の大橋先生は、新町が全国で初めてスポーツ少年団と総合型地域スポーツクラブの融合に取り組んだ時からアドバイスを受けている恩師になる。パネリストの宮嶋泰子さんは、新町をニュースステーションで全国に紹介してくれた恩人、大西さんは徳島県で新町を模範にしてリーダー養成をしながらスポーツ少年団とクラブを育成した大切な仲間と身近なみなさんと会場のみなさんから、どのような質問や意見があるのか、興味深く参加した。
 今年の分科会は、さすがに12回連続で開催していること、スポーツクラブが浸透してきたことから、スポーツ少年団と総合型地域スポーツクラブの対立構図は見られなくなっていた。
 スポーツ少年団という素晴らしい組織の今後50年先を見据えて考えた時、日本の子ども達のスポーツ環境を変化させることをスポーツ少年団指導者が自ら行動しないと本当に時代に淘汰される可能性もある現状を真剣に考える時期に来ている。
 特別講演の中村先生の話にあったように「今の子ども達は遊んでいない」のです。私たち45歳以上の大人は、自分が子ども時代にはたんさく遊びながら複数種目を体験して中学生以降になって部活動として1つの種目に入っていた。だから、ソフトボール大会屋バレーボール大会を職場でも簡単にできました。しかし、今は簡単にできません。なぜならば、今の若者は小学生時代に1つの種目のスポーツしか体験していないからです。私たち大人は、子どもから見ると「ずるい」のかもしれませんね。「自分たちはたくさん遊んで楽しくスポーツ体験していたのに、僕達には1つしか体験させてくれない。」となります。
 幼児期のスポーツ体験を大切にするシステムを総合型地域スポーツクラブでスポーツ少年団が一緒になってプログラミングして将来の団員を確保する方法をする時期になっています。新町は、今年からスポーツクラブが幼児期のスポーツプログラムを充実させます。そして、幼児にスポーツ指導をすると同時に大人にもスポーツの大切さを一緒に体験することにしています。
 それは、将来のスポーツ少年団団員を確保するためのひとつの方法です。
 群馬県は、総合型地域スポーツクラブ市町村設置率が平成20年度ようやく50%を達成しました。これは、全国的に見て低い水準で推移していますが後発でスタートすると先進県が苦労したことを学びながら育成できますから徳もあります。未だに、スポーツ少年団は総合型地域スポーツクラブなんか「そんなの関係ねぇー」と考えているとスポーツ少年団が世の中から「そんなの関係ねぇー」言われる可能性もあります。
対立から協同へ変化した全国の雰囲気を群馬県でも感じませんか?


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