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榛名富士


敷島公園から見た榛名山 紅葉の榛名富士
群馬県では、赤城、榛名、妙義を上毛三山と呼んでいて、運動会などで団編成するときにこの名を使うことが多い。赤城の山中にいるときに、県外の人に「赤城山はどの山ですか」と問われたことがあった。上毛三山の三つの名の山は存在しない。つまり赤城、榛名、妙義の名の付いた山塊をそれぞれの名で呼んでいるのである。赤城山塊の最高峰は黒檜山、榛名山塊では掃部ケ岳(かもんがたけ)、妙義山塊では相馬岳である。
  「榛名富士」は朔太郎37歳に発刊された「蝶を夢む」にある。同年「青猫」を発刊。北原白秋夫妻来橋(「広瀬川詩の道」のページ参照)。八月には谷崎潤一郎らと榛名山を訪れている。朔太郎にとって最も近い山は赤城山のはずだが、赤城山を詩にしてない(「才川町」、「郷土望景詩の後に」の小出松林、「物みなは歳日と共に亡び行く」で「昔ながらに變らぬものは、廣瀬川の白い流れと、利根川の速い川瀬と、昔、國定忠治が立て籠つた、赤城山とがあるばかりだ」に出てくるが赤城そのものの詩はない)のは不思議である。

榛名富士
その絶頂いただきを光らしめ
とがれる松を光らしめ
峰に粉雪けぶる日も
松に花鳥をつけしめよ
ふるさとの山その遠遠とほどほ
くろずむごとく凍る日に
天景をさへぬきんでて
利根川のそのに光らしめ
祈るがごとく光らしめ。

蝶を夢むより(1923年刊行)
 


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