まず初めに、アダルトチルドレン(AC)は病名ではありません。自らがACだと自覚した人のための言葉です。もともとアルコール依存症の治療現場から生まれた言葉でして、「子供時代にアルコール依存症の親を持つ家庭で育った人」という意味で使われていましたが、現在では「子供時代に機能不全の家庭で育った人」という意味になります。
アダルトチルドレンは子供時代に子供であることを許されず、大人の役割りをさせられてきました。そして、大人になって子供時代の自分に何が起こっていたのかについてはじめて知るようになり、また自覚できるようになります。
アダルトチルドレンは子供時代はもとより大人になってからも多くの苦しみが生じて、それが日常生活において大きな弊害になっているケースがあるのです。
いいえ、むしろ子供時代の苦しみが20年前後だとすれば人生80年としてもその後60年余りを苦しみ、世の中で生き難さを感じながらもごく普通に見えるように生活していかなくてはならないとすれば、大人になってからのほうが辛いといえるかもしれません。
子供時代に親の顔色ばかりをうかがい、辛く悲しい思いをしながら必死で生きてきたのに、成人してそれまでの家庭を出てからもそのトラウマを抱えて苦しみから逃れられない大人は、誰もが簡単にできるような日常生活の中の些細なことで苦しみ、そしてその事を誰にも相談できずにいます。
誰もが普通にやっている些細な行為なのに、本人にはそれをする事が心の負担になっている。だけどそんな事は表には出せなし、単なるワガママとしてしか見てもらえず誰も理解してくれない。そんな思いがさらに自分自身を追い詰めていきます。
そして、気がつくと親にされたことと同じ事を自分の子供にしてしまっています。あんな親の様にはなりたくないと思っていた大人に自分自身がなってしまっている事に気がついても止めることができないのです。
これらは親から子へ、子から孫へと、次の世代に連鎖することもあります。この連鎖を断ち切ろうと子供をつくらないと決めて生きている人もいます。
どちらにせよ幸せな事ではありません。
そして、アダルトチルドレンとしての自覚症状がなくて何の理由もないのに生き難さを感じている人もいます。
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