ジャムカレットで |
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2005年2月17日(木) ジャカルタに住む若者への便り 仕事が変わって、もう慣れましたか。元気に活躍の由、なによりです。年末年始が忙しいとか。そちらは日本と違って正月は旧(正月)で祝うから関係ないように思いますが、顧客に日系企業が多いのでしょう。ジャカルタにいながら日本中から注目されている愛知万博の仕事に関係することができ、時代の最先端にいる感じでしょう。そちらで日本ではたぶん会うことができなかったかもしれない人にも会えることは幸いなことです。日本にいて感じないことが外国にいると見えてくるものが沢山あるのかも知れない。 最近巡り会ったというJICAの方のホームページを全部読みました。2年間に経験し感じたことが生き生きと記されていて、インドネシアの全部でないにしろ沢山のことが分かってきます。ありとあらゆる厳しくもあり、ときに悲しくもある生活の匂いが逞しく伝わってきます。ヤンティの話に君が涙を誘われたこと、分かるような気がします。 (ヤンティの話とは、ホテルのドアガールのヤンティが日本人のある客に淡い恋心を抱きつつ接していた。日本という国にも興味を持ち始めたある日、その客がきれいな女性を伴ってやってきた。ヤンティーはその日を限りにその客に手を上げて挨拶をすることをしなくなったという内容) 私が幼い頃にはこのような人は沢山いた記憶があります。真剣に生きているからこそ言葉に表せない感動が伝わってくるのだろうと思います。 別の章にに記されている、「ジャムカレット」(Jam(時間)+Karet(ゴム)の2単語からできていて、悪く言えば時間にルーズ、よく言えば時間に縛られることない自由な生活)という言葉は、日本人が忘れてしまったことかもしれない。確かにインドネシアと日本では時間の進み方が違うようだ。インドネシアのように一年中暑い国では集中力が持続しきれないために、まあなんとかなるさと、いう気質を持つという指摘は日本人にはなかなか分かりにくいね。納品を3日後に控え数千個もの品物が間に合わず、出入り業者に連絡を取るのに5時間もかかった挙げ句の果てに、一晩中車を走らせてやっと間に合ったという話も、日本だったら確実に取引停止になるだろう。相手がのんびりしているから日本人が忙しく働かなければならないというのは皮肉な話だね。 たしかに日本人はなんでも急ぎたがる。ひとつの例として「ゆとりの教育」が揺らいでいます。子供達を子供らしく育てたいと考えて始まったゆとり教育が、国際的なテストの結果が悪かったということで、ゆとりに当たる内容を、知識を重んじる授業に変えようということに傾きはじめている。人に評価されないから、良かれとはじめたことが僅か数年で変更しなければならないのは、あまりにも短兵急です。最近の日本人は結論を急ぎすぎているきらいが強いようです。自分で時計の針を速くなるように廻して、いったい余った時間を何に使おうとするのか。ただ、急いでいるだけにしか見えないのは寂しいことです。 新しい仕事で多忙を極めていると思いますが、君は今とてもいい時間を送っていると思います。きっと毎日の生活の中で、日本では得られない大事なものを沢山感じているのだろう。JICAの方が重みのある文章を短期間に書くことができているのは、彼の生きてきた重みと鉄道一筋の職業人としての自信が裏打ちされているからなのだろうと思います。自分が仕事に打ち込めば、仕事が自分の生活と気持ちを支えてくれます。今のこの時を大事にして活躍して下さい。無理はいけません。「ジャムカレット」で一歩また一歩です。 「この人に比べたら、自分の実力なさを実感しますが、2年後に自分の仕事史を振り返って後悔しないよう今をがんばりたいと思います」という君の気持ち、いつもと変わらず謙遜な気持ち嬉しい思いです。 |
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