議員も辞めたらいい |
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2008年09月30日(火) 国民が、「消された年金問題、後期高齢者医療制度、汚染米問題、メラミン汚染問題」など山積する問題に窮している中での自民党総裁選が茶番劇と揶揄されながらも終わり、麻生氏が総裁に任じられ総理になった。2代に渡る首相の「やーめた」と言わんばかりの職務放棄に、現政権での政治にあまり期待されてない中、新政権が動き出した。ところが連日報じられているのは、わずか5日しか勤まらなかった国交相の信じられない醜態である。 9月25日の報道各社インタビューで、成田空港反対闘争について、「ごね得というか、戦後教育が悪かったと思いますが、公共の精神というか公のためにある程度は自分を犠牲にしてでもというのがなくて、自分さえよければという風潮の中で、なかなか空港拡張もできなかったというのは大変残念」。「日本は随分内向きな、単一民族といいますかね、あんまり世界と(交流が)ないものですから、内向きになりがち」。大分県の教員採用汚職事件について「大分県教育委員会の体たらくなんて日教組(が原因)ですよ。日教組の子どもなんて成績が悪くても先生になるのですよ。だから、大分県の学力は低いんだよ。全国学力テストを提唱したのは、日教組の強いところは学力が低いのではと思ったから。現にそうだよ。(事件発覚で)学力テストを実施する役目は終わったと思っています」などと発言。 26日、成田闘争発言では千葉県知事から、単一民族発言では「北海道ウタリ協会」からの抗議に、心から謝罪させていただきたい」と陳謝。 27日の自民党宮崎県連会合あいさつでは、「日教組の一部の方々は、考えられないような行動を取っている。教育基本法改正の時も毎日、何百人という先生が国会議事堂を取り巻いていた。この先生方は子どもたちをどうしているのか。過激な性教育も行われております。国歌・国旗についても教えない。何よりの問題は道徳教育に反対していることだ」。「何とか日教組は解体しなきゃいかんと思っているところでございます。民主党の最大の支持母体でございます」。「日本では様々な犯罪が起こっている。もうけるためならうそを言ってもいい、子殺しとか親殺しとか、これが日本だろうかと。かつての日本人はどこに行ってしまったのか」と述べたうえで、その原因は日教組に問題があると主張。日教組が教育基本法改正や国旗・国歌や道徳教育の強制などに反対してきたことを挙げ、「何とか日教組を解体しなきゃいかん」「(元首相の)小泉さん流に言うと、『日教組をぶっ壊せ』。この運動の先頭に立つ」と力説した。 28日、囂々たる非難を浴び辞任を決意した。その後の記者会見で、「辞任しなきゃいかんと途中から思った。ゆうべ、いろいろな方々に相談した。家内(中山恭子参院議員)とも相談した。本当に悩んだ。政治家中山成彬として、何が日本を駄目にしているのか伝えるのも仕事と考えた時に決断した」。麻生政権への影響について、「わたしが一番心配すること。もしそういうことがあれば万死に値する」としている。首相に迷惑がかからなければ、訂正も陳謝も辞任もする必要でないらしい。国民へのメッセージはない。罷免することなく辞任を認めた麻生内閣の先は見えている。自分と自分の身内のことだけが大事のようだ。相談を受けた妻の恭子氏は「辞任は仕方ない。このことが日本の教育を考えるいいきっかけになればいい、前向きに考えよう」、首相は「誠に残念と」と言ったそうだが、拉致問題担当の恭子氏には失望である。こんな暴言で日本の教育を考える「いい」機会になりようはない。むしろこんなことを考えている愚かな議員がいるのかと再認識するには「いい」きっかけになったのではないか。 日教組発言については政治家として撤回しないと断言。日教組と学力の相関関係について再び「大体そういう傾向と思う」。「相関関係を明らかにするために全国学力テストを始めたのか」。の質問には「いろんなことを検証するため」とし、日教組への発言は「確信的にあえて申し上げた」としている。そんな事のために現場を圧迫し、60億円もの出費をしたのか。更に民主党に言及し「日教組や社保庁という本当に働かなくても給料がもらえる官公労の職員に支援してもらっている民主党が政権を取ったらどうなるんだろうか」、「日教組解体、小沢民主党も解体しなければいけない」とも述べた。 29日、国交相辞任後、TBSの情報番組で「民主党政権が誕生すると、日本全国が今の大阪府みたいになる。職員組合とのなれあいで財政破綻にひんしている」と懲りずに述べている。こんな人物をTVに出演させ暴論をしゃべらせる必要にどんな公共性があるのか。大いに疑問である。 中山氏の発言は暴言であっても失言ではない。どうやら、日教組に対する想像を絶する憎しみ、怨念があるようだ。現在の日教組はそれほど大きな影響力があるとは思えないのだが。同氏は当時文科相だった07年4月、従軍慰安婦問題で「当時は公娼制があり、売春が商行為として認められていた。慰安婦はほとんど日本の女性だった」「(慰安婦は)もうかる商売だったことも事実だ」などと述べており、歴史認識はかなり偏し、思いこみが激しい。今回の発言内容に対し自民党内からも非難が多出し反発を買っている。「日教組が強いところは学力が低い」発言について「撤回はしない。わたしは日本の教育のガンは日教組だと思っている。ぶっ壊すために火の玉になる」の発言などは、正常な意識での発言とは思えない。 どうやら、国交相を辞めるための発言としか思えない。そこまでは考えても、過激発言が自民党の首を絞めることになることまで考えがまわらないようにも見える。こんな人物が、かつて文科相をやっていたことが不思議である。彼の発言に問題があるのは、「誤った事実」に基づく思いこみである。そのひとつに「日教組が強いところは学力が低い」がある。その具体的な資料を記しておきたい。下のグラフの縦軸は08年全国学力テストにおける国語、算数(数学)4科目合計の全国順位、横軸は日教組組織率である。(都道府県別の組織率は9月27日朝日新聞(10以下、10〜50、50以上の分類なので下のグラフの横軸10は分類10以下、横軸30は10〜50で描いてある)、およびhttp://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/blog/node/2274による)。 組織率が高いと学力低下につながるなら、グラフは右上がりになるはずであるが、福井のように組織率がトップなのに順位がトップクラスであるようなデータが散見され、その逆に組織率が低くても順位が低いものも多数見られる。このことから、日教組の組織率と学力テストに顕著な相関は見られない。つまり、中山氏には一部の県の例をもって、それがすべてであるような不幸な思いこみがあるらしい。組合攻撃のために、こんな論法を使うことなど稚拙としか言いようがない。国民をなめるのもいい加減にして貰いたい。それらしい演説をすれば聴衆が引き込まれ自分の説に靡くなどと思っているならとんだお笑いである。 中山氏は国交相を辞すだけでなく、日本を疲弊化させやっと勇退する元首相とともに政治家を辞めることを勧める。所轄の空港の血の出るような歴史に泥を投げつけるような発言をしたり、誤った認識で、合法的に活動している労働組合を中傷誹謗し、反省することなく平然としている議員がいなければならないほど日本は人材不足なのか。言いたいほうだいの国交相としての5日間に対し高い給金が払われると聞くが、釈然としないものを感じる。 |
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