日々の抄

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 本業を疎かにするなかれ 

2008年12月13日(土)

 本庄市内で今月3日に撮影された映画「ROOKIES」の映画版の野球練習シーンなどの撮影ロケで、近くの県立高校生らが学校を欠席してエキストラとして参加していたことがわかった。エキストラを募集したのは「彩の国本庄拠点フィルムコミッション」(本庄FC)である。
 本庄FCの「話題のドラマの本庄ロケ撮影が決定!『ROOKIES(ルーキーズ)』 エキストラ大募集!」によると、
『 (1) 撮影日時 12月3日(水) (4) 年齢 原則、18歳以上の男性・女性。(高校生に見えそうな方を特に募集します) (6) 持参品のお願い 高校生希望の方は、男性:白Yシャツ、ベルト、女性:白ブラウス、紺ハイソをお持ちになってください。』とある。
 「高校生希望の方は・・・」とあれば、「高校生に扮したい人は」でなく、「高校生でもよし」と読めないことはない。高校の授業日である水曜日の当日に、近隣の県立高校など複数の学校から男女数人の生徒が参加したが、正確な数は把握してないという。「18歳未満」ではないことなどを確認するため、撮影現場に受付を設け、事前に配布した「記念品交換券兼入場券」をチェックすることになっていたそうだが、当日参加者が多かったことから、本庄FCの会員らは対応しきれなかったという。
 参加した高校から抗議があったが、関係者は「募集に誤解をまねくことがあった」「配慮が足りなかった」としているが、はっきりと「高校生はお断り」と明記すれば問題はなかったのではないか。

 似たことは毎年行われる高校野球でも起こっている。地方予選を7月に入って授業日にやっていることから、自校の試合に、授業をサボって応援に出向く者がいる。応援団、吹奏楽などは「公欠」になるが、一般生徒の応援は御法度である。平日に連日公式試合をしているのは高校野球以外は聞かない。日程の都合もあるだろうが、運営に関係する教員は毎日「出張」を余儀なくされることもあり、運営方法に工夫が必要であることは確かだ。

 さらに、連日のように報道されている「ハニカミ王子」はどうなのだろうか。彼は現役の高校生である。私立高校生だから、学校でいろいろ便宜を図っているのだろうが、卒業条件である授業日数の2/3以上登校しているとは思えない。マスコミは「十代で一億円プレーヤー誕生」ともてはやしているが、「ハニカミ王子」が高校生であることをどう思って報道しているのだろうか。非正規雇用労働者の突然の解雇で、職も住居も失っている人が多数路頭に迷っている昨今である。一億円プレーヤーの報道は違和感がありすぎる。
 同様に、フィギュアスケートの「マオちゃん」は何日登校しているのだろうか。彼らがフレックス制、単位制の高校生なら何も言うことはない。世界的な選手だからといって、高校で他の生徒と同様に、必要最低限の学ぶ権利は奪うわけにいかないのではないか。

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