日々の抄

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 高速道路が混んでいる

2009年3月29日(日)

 昨28日から「高速道路料金の地方部の休日上限千円」が開始された。例外である大都市圏またぎ等も、4月29日から同様になるという。全国的に、車で遠出する人びとが沢山見られ、インターやサービスエリアで混雑したという。遠出するのに、今までより数千円以上経費が減額になるのだから当然の結果かもしれない。この「高速道路料金の上限千円」は暫定2年間のみで、原資の5000億円は特別会計で賄われるという。日本の高速道路利用料は他国に比べ高額であり、利用料の減額化は一般庶民にとって好ましい事なのだろうが、いくつか問題点を持っている。

 ひとつは、値下げの対象が、ETC搭載の二輪車、軽自動車、普通車のみであること。もうひとつは土日祝日のみであることである。

  対象が、ETC搭載車のみである必要はどこにあるのか。以前からETC搭載車の料金所での事故が問題視されている。ETC搭載車の増加とともに事故の増加が懸念される。今回の料金値下げが、経済対策であるなら、ETC搭載車のみである必然性はどこにもない。どう考えても、ETCの関連企業ないし財団などに官僚が天下りし、どこかで甘い汁を吸っている人物ないし役所があるとしか考えられない。そうでないなら、なぜ現金支払いでの利用者が値下げ対象にならないのか、明快な説明を求めたい。料金所での渋滞云々は理由にならない。

 もうひとつの、土日祝日の二輪車、軽自動車、普通車のみが対象になることの合理性が見あたらない。経済対策、景気浮揚が利用料金値下げの理由なら、週末に限る理由はない。また、輸送関係の利用、つまり、トラック、バスなども対象にすれば、より景気浮揚につながるのではないか。

 昨年4月、当時の首相は、『環境問題を重視すべき時期にガソリン税値下げは適切でない』とし、ガソリンが安価になり、国民が自動車に乗ることが増えると、環境に問題を与えるとしていた。今回の「高速道路料金の一律千円」によって、今のところ高速道路に目立った渋滞や混雑はないとしながらも、利用者が増加したことは確かである。それは当然予想できることである。「高速道路料金の上限千円」が景気対策といいながらも、政府の都合で環境に問題を起こす施策を肯定したり否定したりでは、あまりにご都合主義ではないか。

 今回の施策は選挙目当ての、国民へのご機嫌取りと思われてならない。2年限定というが、その先はどうなるのか。5年後10年後の道路行政の将来像を示すべきではないか。近い将来、衆院選挙が行われ、政権が変わり、野党第一党が新たな政権を執ると、公約により高速道路はタダになると聞く。「高速道路料金の上限千円」のために駆け込みでETCを取り付けた国民は、無駄な出費をしたことになるのだろうか。僅かな利用料の減額のために、為政者に組み敷かれるような面持ちがするため、私はETCなど取り付けるつもりはない。

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