新型インフルエンザが深刻だ |
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2009年11月15日(日) 本年4月下旬,メキシコで発生したとされる新型インフルエンザは全世界に広がり,5月中旬,渡航歴のない神戸の高校生が国内初の発生と考えられていたが5月下旬に米国東部とカナダで集団感染を起こした系統と、メキシコでの流行の発端になった系統と中間に位置するものが4月末に発生していたと伝えられた。その後,感染者は爆発的に増加した。厚労省の13日発表によると、流行の中心だった5~14歳の患者数の推計が、11月2~8日の1週間は85万人(前週より-10万人減),0~4歳は14万人から15万人に、15~19歳は20万人から24万人に、それぞれ増加。2~8日の推計患者数は、153万人(前週-1万人減)。検出されたウイルスは大半が新型で,これまで5~14歳が6割以上を占めていたが、この週は56%に減少。0~4歳、15~19歳の割合は逆に増加し、未成年が全体の8割以上を占めたという。WHOによると、今月8日時点で全世界で確認された死者は同6260人以上という。 国内の死亡者は50名を越えているが,5月中旬,米疾病対策センター(CDC)は1957年より前に生まれた人の一部に、新型に対する免疫がある可能性を示していたが,その後必ずしもそうではない症例が出てきている。 ワクチン接種への厚労省の対応が迷走しているように感じられる。10月16日、国産ワクチンについて、「1回の接種で効果的な免疫反応が期待できる」とする治験結果を公表。新型インフルエンザは大半の人が免疫を持たないため、これまで2回接種を前提にしていた。治験は北里研究所が製造したワクチンについて9月17日から健康な成人200人に対して実施し,通常量(15マイクログラム)を皮下注射した結果、血液中で免疫として働く抗体の量が4倍以上上昇するなど、ワクチンの有効性を示す基準を満たした人が96人中72人(75%)で、ワクチンとして有効と評価される国際基準の40%を上回った。また倍の量(30マイクログラム)を接種した98人では86人(87.8%)に上ったという。 ところが,足立厚労政務官は同20日、20~50代の医療従事者以外は当面、原則2回接種とする方針を発表。今後、妊婦や中・高校生を対象にした小規模の臨床試験を追加実施し、結果次第で1回接種への変更も検討するとした。16日に厚労省が開いた専門家会議では「13歳以上は原則1回」の意見で一致していたが、行政判断でこれを覆した。厚労省はこれを受けて、高校生と65歳以上は輸入ワクチン、それ以外は国産を使うとした。13歳未満の接種回数は薬事法の承認で2回となっている。 ところが,長妻厚労相は11月11日、高校生以下の年齢層を除き、1回と2回とで得られる免疫がほとんど変わらないとの臨床試験結果から、専門家らが1回で十分とする見解をまとめたため,1回接種を正式決定したと発表。その結果、接種スケジュールが前倒しされ、従来は接種対象外だった健康な成人がワクチンを打てる可能性も高まったが、実際の接種時期は遅く、新型インフルエンザ流行のピークには間に合わないとみられている。厚労省によると、持病のある人、妊婦、高齢者、1歳未満の乳児の保護者はすべて1回接種。13歳未満の子どもは基礎的な免疫を持っていない可能性があるため2回とし、持病のある人のうち免疫状態が悪化している人は医師の判断で2回も可能とした。また、中学、高校生は当面2回を前提とし、12月中に臨床試験結果がまとまるのを待って1回で済むかどうか判断するという。 ワクチンはこれまで3回に分けて約630万回分が出荷され、医療従事者や妊婦、基礎疾患(持病)のある人を対象に接種が行われている。厚労省によると、今月24日に予定されている第4回の出荷量は、575万回分だった。しかし、出荷作業の遅れなどにより、予定より約120万回分少ない約450万回分しか出荷されない見通しとなった。 ワクチンを接種すれば安心というわけにはいかないようだ。治験結果で有効と評価されたのは75%だったのだ。ワクチンを接種した富山県の70代男性が、接種翌日に急性呼吸不全で死亡した。男性には肺気腫の基礎疾患があったというが,因果関係は明らかとはいえない。北里研究所による治験で,ワクチンを接種した後の副作用は45.9%の人にあり、接種個所が赤く腫れたりする頻度が高かったが,比較的重い副作用として急なアレルギーショックなどもあったという。 5月の新型インフルエンザ発症から半年経過するというのに,ワクチンの生産量をなぜ増やせなかったのか。重症化しやすい幼児への接種ができないことは深刻な問題である。接種回数がなぜ迷走したのか。また輸入ワクチン接種によってギランバレー症候群(Guillain-Barré syndrome)などの副作用も伝えられているが,対象としている「高校生と65歳以上」は大丈夫なのか。行政の対応が「国民の命を守る」という立場で考えると十分な対応とはいえない現状である。 基礎疾患を持つ人が新型インフルエンザに罹りやすいといわれてきたが,そうでもない症例も出てきている。幼児の急激な病変により死亡も伝えられている。低温,乾燥の時季をこれから迎えこれ以上爆発的に患者がでてくることが案じられている。私も咳き込んでいる学生を前にすると手洗いをしたくらいでは済まない気がするが,幸い罹っていないのはただ運がいいだけと思っている。8年間熱を出して寝込んでないことを自慢していられない心境である。だが,ワクチンを接種するつもりはない。 学校現場では,学級閉鎖などによる授業時間不足,学校行事の中止など対応に窮している学校も少なくないが,命には替えられないと思うべきだろう。 |
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