日々の抄

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  嘘つき2題

2005年8月23日(火)

  きょう、2つの嘘つきの話を耳にした。
その1は、甲子園を制した硬式野球の優勝チーム。6,8月の2回にわたって野球部長が部員に対する暴力行為があったことを学校関係者が知っていながら全国制覇するまで隠匿していたという。全国優勝をせずにいたら、もしかしたら白日の下にさらされることがなかったかも知れないが、どうせわかることをなぜ発表しなかったのか。同じ高校野球で、高知県の明徳義塾が8月4日大会本部に出場辞退を申し入れた事を思い出す。明徳の場合は甲子園に出場することはなかったが、駒大苫小牧の場合は優勝までしてしまった。全国の野球少年の夢と憧れの的であった優勝校が、「実は不祥事がありまして、優勝旗の返還も覚悟しています・・・・」などと今頃言い出すのはどういうことなのか。明徳の場合は生徒の不祥事だったが、駒大の場合は野球部長という指導者の不祥事であるから、多少は事情の違いがあるが駒大の方が罪は重いのではないか。両校とも「バレなければいいや」という気持ちがあったに違いない。原因は違っても大人の判断の誤りによって、高校生が悔し涙を流したことは間違いない。強豪校とちやほやされ思い上がっていることはなかったのか。厳密なルールの下に行われる野球の試合に出られるか否かの最低限のルールを忘れてはいないだろうか。

 県内の甲子園経験高にも同様な不祥事といわれることがあったが、夏の大会の前に問題が発覚したことによって、県大会には監督を替えて参加することができたことも思い出すが、いずれの場合も被害にあった部員、家族からの訴えの結果であり、野球部の指導者から事情が判明したのではないことが気になる。スポーツマン精神に則って全力で白球を追いたい・・・と言うが、部員が多くなれば当然問題行動は予想できることだし、野球少年がすべて清廉潔白だと思うのは間違いだろう。高校野球が教育の一環だということを忘れてないだろうか。
 嘘は必ずばれる。選手達は今回の一件が外部に暴露されることがなければ、「自分は全国優勝した」のだと、これからも胸を張っていられたのだろうか。大人の罪は重い。

その2はピアノマン事件。
 「英国南東部ケント州で、四月に保護され「ピアノマン」として話題となった男性が、保護から約四カ月ぶりに口を開き、自分はドイツ人であることを明らかにし、すでにドイツに帰国した」との報道があった。当人の言葉によると、「父親はドイツで農場を所有。姉妹が二人。パリで働いていたが失業し、英国に移り、「自殺しようとしていた」ところを保護されたという。精神障害者に関連した仕事の経験から、保護された後周囲を欺き記憶喪失を装っていたようだ。ピアノがうまく弾けるとされたが、1つのキーをたたいていただけという。結論からすると、ピアノマン騒動は本人の偽装であり、すでに母国ドイツに帰ってしまったということだ。

 ここで、疑問がいくつかある。「白鳥の湖」などの曲をピアノで巧みに数時間も演奏したと伝えられたことは、誰が言い出した嘘だったのか。ピアノの絵を描いたことは偽りではなかったようだが、本人が弾いていないピアノを、それも1つのキーだけをたたいていたのを何故「巧みに弾いた」ことになったのか。また、「経験を積んだ医者、病院関係者」がニセ記憶喪失をなぜ見抜けなかったのか。

 今回の騒動で大きな損害を被った人はいないかもしれないが、「ニュースなんて当てにならない、簡単に信じない方がいい」と思っているのは私だけではあるまい。少なくとも「・・・・という報道があった」という程度に受けとめないといけないようだ。
 ピアノマン騒動が映画のストーリーに似ていたことなどから、興味を惹かれわざわざ英国まで大枚をはたいて取材に行ったマスコミもあったようだが、身の回りの世話をしていた病院関係者だけが「許せない」と思っているだけなのか。
 今回の一件は、「ピアノ」というキーワードがなければニュースにはならなかったのかもしれない。

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