日々の抄

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 「憲法記念日」がなくなっていいのか

2010年3月6日(土)

ゴールデンウイークなどに集中している連休を分散させる政府の原案が3日、観光立国推進本部の分科会で提示された。それによると、2回の5連休をつくるために祝日法を改正し、現在の5月のゴールデンウィークや秋の連休もなくす。憲法記念日(5月3日)、みどりの日(同4日)、こどもの日(同5日)、海の日(7月第3月曜日)、敬老の日(9月第3月曜日)、体育の日(10月第2月曜日)の6祝日が「休み」ではなくなる。その代わり、月曜から水曜の3連休を新たに春と秋につくり、土・日曜と連続してそれぞれ5連休にするという。
 その連休は、日本を五つのブロック(「北海道・東北・北関東」「南関東」「中部・北陸・信越」「近畿」「中国・四国・九州・沖縄」)にわけ、春と秋の2回、週末を絡めて順番に5連休にするという。
 春の連休は5月の2週目〜6月の2週目を対象期間とし、西から順番に連休にしていく。秋は10月の1週目からを対象に、同様にずらして設定するという。

 このような連休を作る理由は、「混雑を緩和し、観光需要を引き出すこと」。具体的には、大型連休が集中していることで観光産業が収益を上げられる日数が限られている上、渋滞などで消費者も旅行しにくい現状の解消という。つまり、休みを分散して取れれば、消費者は安いコストで多様な余暇を楽しめるため内需拡大につながり、繁忙日と閑散日の差が平準化されれば、関連産業も経営効率が上がって雇用機会を増やすことができ、相乗効果で景気の底上げにも役立つと期待されるという。

景気回復の策として考えられたらしいが、問題点は山積する。
「地域ごとに休みが違うと仕事上の取引に支障がでる」、「全国展開している企業は、工場により休日が異なると、(部品供給が受けられないなど)サプライチェーンの連携に支障を生じる可能性がある」、「勤務先や通学先により家族の休日が異なる可能性がある」、「就業規則、生産計画などの変更でコスト負担増が懸念される」、「中小企業は有給休暇を取りにくい」、「製造業では受注の状況によって休みを取りにくい」などが各界から挙げられている。
 連休で帰省することを考えると、自分の地域が連休で帰省したら、帰省先が連休ではなく、友人、家族が一同に会せないことは見えている。全国版の高校の模擬試験も地域によって連休が異なれば調整が難しいだろう。

しかし、根本的問題を考えれば、経済効果を考えるが故に意味のある「憲法記念日」「こどもの日」「敬老の日」「体育の日」が変更されていいものか。6月に入ってから「こどもの日」jに相当する休みがあって、どのような意味があるというのか。白けるだけである。「憲法記念日」の意味を考えれば、平和国家を念じた記念日は経済効果に勝るのではないか。

ゴールデンウィークの混雑解消、レジャーの安いコスト化が狙いというが、疲労を感じながらも、寧ろ混雑している雑踏に身を置くことで「人並みのことをしている」という「一体感」もあるのではないか。ガラガラのレジャー施設は楽には違いないものの一抹の寂しさがありそうだ。ゴールデンウィークが混雑して大変なら、外出しないか、混雑しない場所を選べばいいだけである。観光需要が増加しても、他の産業で不利益が予想できるなら、安易に休日を平準化すべきではない。

経済効果を優先するために大事なものを失ってしまう気がして仕方ない。「休日平準化」には断固反対である。連休は全国一斉に休むからいいのだ。「休日平準化」は拙速である。政府は多方面の雇用促進の根本問題を考えるべきである。政治とカネばかり論じられていては、国民は救われない。

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