日々の抄

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 勝負は終わったが

2010年6月30日(水)

サッカー、ワールドカップ南アフリカ大会で日本代表はベスト8目指したパラグアイ戦で健闘したが,PK戦での惜敗で残念至極であったが,どちらが勝ってもおかしくない試合だった。日本のサッカーがここまで力をつけてきたのかと感慨一入。日本中で熱の入った応援があったが,今大会の日本代表の前評判は全く異なるものであった。心ないサッカーファンは,「監督辞めろ」を叫び,1回戦敗退が当然の気配が漂っていた。マスコミもボロクソの前評判を流し,カメルーン戦での勝利からの掌返しの報道は呆れかえるばかりで,無節操の極みであった。心ないファンの仕儀は,名選手の名を欲しいままにした王貞治氏が初めて監督したとき連敗を重ねた結果,罵声を浴びせ,玉子をぶつられたことを彷彿とさせる。ブログやツイッターに「岡ちゃんゴメンね」の書き込みが多数あったというが,「みんなで貶(けな)せば怖くない」「みんなで謝りゃそれでいい」という気配には背筋の寒いものを感じる。いったい何様だと思ってのことだろうか。これが贔屓の引き倒しなのか。
 日本代表として試合にでるのだから,負けるつもりで参戦するはずはない。負けて一番悔しい思いをするのは選手,監督だろう。自分の思う結果を出してくれないからといって,言いたい放題,書きたい放題は無節操である。第2戦以降の深夜の大騒ぎの応援,陽が上がった後も都内を好き放題に歓喜してまわっている姿や,試合前に中継用の大画面の前で肩を組んで「君が代」を大声で歌っている若者の行為は平和な日本の一生態と思わなければならないのか。サッカー、ワールドカップの試合を見ながら心の狭い自称サッカーファンとマスコミには腹立たしい思いをしてきた。

腹立たしいことをもうひとつ書いておく。あっという間に首相の首が据え変えられ,支持率が20%を切っていたものが,新首相への期待のためか,50%を越えた。ところが,消費税を検討したいとの発言があったとたんに,10%以上の支持率低下という。首相が替わったからといって民主党が大きく変わったわけではないはずなのに,4年間は消費税は上げませんと言っていたことは嘘だったのか。首相が替わったら沖縄問題は解決するのか。「消された年金問題」の作業はどこまで進んでいるのか,をはじめ,一時大騒ぎをしていたことが恰も何もなくなくなったように見えているのはいったどういうことなのか。
 一方で参院選で相変わらず「タレント候補」の顔を見る。顔を知られているからといって客寄せパンダではあるまいに,選挙民を小馬鹿にした候補者選びは腹立たしい。有名人だから投票するなどと考えている政党は信頼できない。ましてやオリンピックの現役選手と参院議員を同時にこなすことができるつもりの候補者もいるらしいが,片手間で議員先生の仕事をやられては堪らない。選挙民をなめないで欲しい。
 マスコミは,病院の受け入れ拒否問題,保育園の不足問題,高齢者施設問題,福祉介護施設での恵まれない労働環境問題,アフガニスタンで今も使われている「劣化ウラン弾」などについて,掘り下げた報道をして欲しい。消費税が10%に上がることを既成事実のように報じるのでなく,官僚の天下りによる無駄遣いをなぜ徹底して追求して報じないのか。タレント候補の人となりなど伝える前にやるべき事が山積しているのではないか。
 「日本は普通の人ががんばれる国」と政府は喧伝しているが,職を求めても仕事に就けない人がどれほどいるのか認識しているのか。認識が甘すぎると思えてならない。

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