日々の抄

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 お粗末な国会論議は見たくない

2010年12月5日(日)

 第176臨時国会が3日、会期を終えて閉会した。野党が参院で多数を占めるねじれ国会の中、景気回復、国民生活改善、外交問題についての本質的な論議がなされることが望まれていたが、法案審議が停滞し、新規と継続を合わせた政府提出の一般法案の成立率は37・8%にとどまったという。いかに首相の指導力云々が語られても、きょうの生活にも直結している労働者派遣法改正案や郵政改革法案などを可決しなかった責任は野党にもあることを忘れてはなるまい。

  国会論議は小学生の学級会でクラス委員を外された児童が学級委員を糾弾している様のようで甚だお粗末な結果であった。野党は尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で事件の対応が悪いとして政府を攻め続け、所轄大臣の問責決議を可決させ一本とった気持ちだろうが、なぜ中国へ抗議をしないのか不思議であり、矛先が違うのではないか。確かに小沢元代表が東京第5検察審査会に強制起訴議決されたこと、柳田稔前法相の国会軽視発言、仙谷官房長官の「柳腰」、自衛隊「暴力装置」、「メモの盗撮」発言など気の緩み、権力ボケしたいかにも政治の信頼性を失わせる発言はお粗末すぎる。だが、野党はこれらの人物に聞きたくもないような罵詈雑言を浴びせかけ自己主張をして見せていたが、所詮は権力から外された「ゴマメの歯ぎしり」にしか聞こえず、まことにみっともない。彼らに人間としての品性を感じない。

 臨時国会会期末に、皇族にヤジを飛ばしたとか開会式で携帯電話を鳴らしたから懲罰動議を出し合う顛末は恥の上塗りを見るようであり、気分が悪くなり最近は政治報道をできるだけ見ないようにしている。挙げ句の果てに大連立が語られているが、国民は従来の政治に見切りをつけて昨夏政権交代を望んだはずであるが、それが淡い期待にすぎないことが明らかになってきた。「どの政党がやっても生活は変わらない」と多くの国民が政治に失望させた政治の責任はあまりに大きい。

 つまらない権力争いはいい加減にして政党を越えて経済を回復させ国民生活を安定させる努力している姿を国民が望んでいることを国会議員は理解してないようだ。近隣諸国から領土問題を突きつけられているときに内輪もめしている場合ではない。互いに敵失を論うことで評価されると思っているなら、程度の低い政治家にしか過ぎないことを知るべきである。

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