日々の抄

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 本当に韓流ブームなのか

2011年7月30日(土)

  中国高速鉄道の事故に対する非難が大きく報道されている。今までは国家権力が,人民からの非難など許さず,抗議はもみ消され報道さえされなかったのだろうが,国営テレビも事故処理に対するいかにも隠蔽工作と思わせる急ぎ方に批判的報道をしていた。少しだけ中国も民主的になってきたのかと思っていた。だが,遺族として抗議していた人びとがつぎつぎと姿を見せなくなっている。親族,知人への権力からの圧力が取りざたされている。事故補償に対する問題を担当するであろう弁護士へも,引き受けないよう働きかけがあったと伝えられている。賠償額を従来の5倍もの値にしてさっさと幕引きを図りたい様子が見える。どうやら,国家のメンツと権力掌握が事故の究明,遺族に対する思いやりより勝っているようである。

  日本では政府に対する痛烈な非難は与党内からもマスコミからも浴びせられている。いかに民主主義国家といえ,言いたい放題には眉をひそめるものもある。一方,名の知られている個人が自らの主張を公にしたらどういうことになるのか。俳優の山本太郎は反原発を公言し,ツイッターで意見を発している。4月10日には原子力撤廃デモへ参加した。ところが,5月25日に「原発関連の発言が原因で同7-8月に予定されていたドラマの仕事を降板することになった」と発言。「事務所に迷惑をかけるわけにはいかない」という自身の意思により所属事務所を辞めた。ただ所属事務所はドラマの仕事があったことを否定している。7月11日には佐賀県庁での反原発デモに参加している。その山本が数日前NHKの情報番組に出演している姿を見たが,明朗で快活な好人物と感じられた。
  もうひとり,俳優の高岡蒼甫が、自身のツイッターでフジテレビと韓流ブームに対し,「8は今、マジで見ない。韓国のテレビ局かと思うこともしばしば。うちら日本人は日本の伝統番組求めてますけど」「洗脳気持ち悪い」「嫌な物に媚び売ってまで活動しない」「骨抜きだよ、今の日本人は」などと発言。28日に所属事務所を退社している。
 俳優が所属事務所を辞めるということはサラリーマンが退社することとは異なるだろうが,仕事に何らかの支障がでることはあるのだろう。自分が思っていることを公にすると,「ご迷惑をおかけする」ので辞めるということは,どういうことなのか。彼らは勝手に辞めたわけではあるまい。最も考えられるのはスポンサーからの軋轢である。自分の発言が原因で「同一事務所の仲間の仕事に支障を生じさせてはならない」ということか。もしそうであるなら,「ひとりの主張は事務所全員が同じ」と考えているのか。さもなければ「過激な発言行動をしている人物を雇っている管理者への嫌がらせ」なのか。もしそうなら,江戸時代の「5人組」となんら変わるところはない。そもそもスポンサーが強い態度でいられるのは広告収入を与えているからに過ぎない。その原資は物品を購入している一般国民の支出ではないか。
  中国のように明らかなこれ見よがしに権力が力こぶを見せて国民の主張を潰しているのに比べ,日本では「世間様」の目がそうさせているだけの違いなのか。

  高岡氏の見解について調べてみた。韓流ブームのためなのか,テレビ放送で韓流番組は驚くことにあまりにも多い。たとえば昨29日の番組表を見るとBS日テレは5,BS朝日とBS TBSは3,BSジャパンは2,BSフジは1番組,地上デジタルではフジが2,TBSが1番組を放映している。この日の合計は17番組である。ひとつの番組は1時間ものがほとんどで,同一時間帯に韓流ドラマが3つも4つも放映されている場合もあるのは驚きである。
  これだけ韓流ドラマが流れているのは,いかに韓流ブームとはいえやり過ぎに見える。領土問題で日本に敵対する風潮が絶えないお国の番組がこれほど流れていることに違和感を感じないわけにいかない。韓国ドラマの制作費は日本に比べ安価と聞く。経済的なことが放映の理由なら情けない話である。日本のドラマや他の番組は放映することがないのか。いっそのこと節電の見地から放送時間を早く打ち切ることを考えてもいいのではないか。
 
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