日々の抄

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 疑惑を晴らすべし

2011年9月29日(木)

   陸山会をめぐる政治資金規制法違反罪に問われた小沢衆院議員の元秘書3人に対し26日東京地裁はいずれも有罪判決を言い渡した。自民党幹事長は「秘書の管理者として小沢元代表の責任は極めて重く、議員辞職に値する。証人喚問も求めたい」「石川被告に対し、議員辞職勧告決議案を改めて提出することを前向きに検討したい」とも語っているが,地裁判決だけで議員辞職に追い込むには無理があり政争の具に利用している感は否めない。

   カネにまみれ小沢氏秘書の「天の声」によって工事業者が決まっていたとされ,それに政治献金が絡んでいるとされる図式はかつて自民党が行っていた行為と何ら変わるところはないように見える。だが,判決で水谷建設から石川被告への5000万円の授受も、目撃者も裏付け証拠もないまま、同社関係者の証言だけで、授受があったと断定している事など,証拠に基づいていると思えない判決が上級審でどのように判断されるか注目されるところである。
   小沢氏は,本人が一切関与してないと言い張っても秘書三人が有罪になれば当然管理責任を問われ議員辞職を余儀なくされるだろう。いずれにせよ小沢氏は国会で国民の「カネに関する疑問」に明確に答えるべきであり,そうしないことが疑惑を否定できないことにつながっていることを知るべきである。

  判決に対して新聞各紙は27日の社説で,「陸山会事件有罪 小沢元代表の責任重い」(毎日),「元秘書3人有罪 小沢氏は'天の声'も説明せよ(読売),「陸山会事件有罪 古い裏金政治の根絶を」(東京),「3秘書有罪―小沢氏の責任は明白だ」(朝日)としている。
   その中で「小沢氏の責任は明白」としている朝日新聞は,9月24日付けの「記者有論」で「小沢氏は首相で勝負せよ」と論じているのはどういうことなのか。時間軸では「記者有論」は判決の二日前であるが,やがて判決結果が出ることは分かってのことである。それによると「好き嫌いはともかくその政局的手腕を認める人は多い。裏方にいた小沢氏は首相として表舞台に立つべきと思う。・・・自身の刑事裁判で無罪となれば代表戦で政治声明をかけて立候補すべき」という内容である。このことと社説で「小沢氏の責任も極めて重い。刑事責任の有無は氏自身の公判の行方を見る必要があるが、政治的責任は免れない。疑惑発覚以来、その場その場で都合のいい理屈を持ち出し、国民に向き合ってこなかった。判決は、問題の土地取引の原資4億円について氏が明快に説明できていないことをわざわざ取り上げ、不信を投げかけている」とは明らかに相反する論である。この矛盾を朝日新聞はどのように説明するのか知りたい。

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