日々の抄

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 大気汚染が迫っている(その2)

2013年2月8日(金)

  PM2.5を含む国内各地の大気中の飛散微粒子の情報を知ることができるようになりつつある。私の居住する群馬県で以前から,夏季には東京都内より北関東で高くなる傾向があることが調べられていた。(*1)
国立環境研究所などの研究チームがまとめたもので,夏季は東京から北関東へ向け南よりの風が吹く傾向が強く,PM2.5が運ばれている可能性があるという。
  同チームが2007年に観測した関東地方のデータ分析によると,7月末〜8月上旬の4日間の大気中のM2.5の平均濃度は、東京都狛江市では1立方メートルあたり15μg/m3だったが、埼玉県加須市では約1.3倍の同19.1、前橋市では約1.4倍の同21.3。この期間中に前橋市で観測された日中6時間平均値は、最高で同38.5に達していたという。この値は国内の環境基準値35μg/m3を超えている。

  この値は中国由来とされる大気汚染で特に西日本での大幅に基準値を超えていることに比べれば大きな値でないように思えるが,2月6日に群馬県から発表になった過去2年間のPM2.5の年間飛散値のグラフ(*2)によると,2011年に環境基準を超えている日が夏季だけでなく春から秋にかけて高い値を示していることが分かる。また,その最大値は63μg/m3である。

  冬は大陸から,それ以外の季節は京浜地方からの風に乗ってPM2.5が飛来することになり,今までは日本一知名度が低くても風光明媚で空気が安心して吸える土地と信じてきたことが覆された感がある。環境基準がはたして妥当な値なのか,WHOの基準が25に対して国内で35にどのような根拠で定められたのか知りたい。

  PM2.5の環境基準「1年平均15μg/m3以下」(09年9月制定)は,環境省によると2011年3月時点で基準を満たしていたのは全国46カ所の測定局のうち3割以下だったという。
  基準値を超えている地域があるからには他国のもたらした大気汚染原因を追究する前に,国内での早急な原因回避の対策を政治は対応すべきである。

(*1)http://www.nies.go.jp/whatsnew/2012/20121023/20121023.html
(*2)http://www.pref.gunma.jp/contents/000229487.pdf

下のグラフは群馬県HPより引用



 
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