日々の抄

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 教育委員会事務局しっかりしなさい

2013年9月2日(月)
   新学期が始まった。ほとんどの各都道府県の来年度の教員採用試験の一次選考が先月末に終わっている。毎年のことだが,複数の選考でミスがあった。そのいくつかを書きだしてみる。

出題ミス:
山口:高校生物で「タンパク質の平均分子量を4・5×410 」とする部分を「4・5×810」と誤記し、問題として不成立。
和歌山:特別支援学校の校種・教科専門検査の2問題で点字の読み方を問う図に誤りがあり問題不成立。
佐賀:高校日本史の「問6」の史料を基に税の額を算出する問題の中で「丁妻(女性)」とすべきところを「正丁(男性)」と誤記。
千葉:筆答試験「教職教養」で異なる品詞を解答させる問題の文章中で「頼朝に献上した」と記載すべきところを、誤って「献」を削除して「頼朝に上した」と記載。問題として不成立。
埼玉:中学・社会,高校・保健体育,同・デザインの3教科で1題ずつ出題ミス。社会はサンフランシスコ平和条約に関する問題文に誤りがあった。また、保健体育は喫煙と健康、デザインはデザイン振興の問題で、それぞれ正解の選択肢が二つあった。
福島:中学校・特別支援学校中学部の理科の水の電気分解を問う問題で、問題文の「ファラデー定数」の数字の一部に誤記。
愛知:「教科専門1養護教諭」の試験で、児童や生徒の結核の有無を確認するための検査方法などを四つの選択肢から選ぶ問題で,昨年3月に学校保健安全法施行規則が改正されたにもかかわらず、改正前の規則に基づいて問題を作ったため、正解がなく問題不成立。
宮崎:高校商業,中学の美術などで、受験した総数1651人のうち454人に関係した。質問には「ア〜ウのうちひとつ選ぶ」とあるのに選択肢が「エ」まであったり、「鑑賞」を「観賞」と誤って表記。
熊本:中学理科で,緑色植物が土の中の無機窒素化合物を吸収し、有機窒素化合物に変える作用を尋ねる問題と、関連問題。作用の正解は「窒素同化作用」だが、県教委は誤って「窒素固定作用」を正解としていた。このため、関連問題は解答できない内容になっていた。
埼玉:中学・技術の回路に流れる電流の値を問う問題で、正解が選択肢になく問題不成立。作製した図の原案にはない余分な導線1本を印刷業者が書き加えたためという。
山梨:中学校と特別支援学校・中学部の保健体育の試験問題の剣道の構えについて,右の拳と左の拳を竹刀のどこに置くか答えさせる内容で、問題文では右拳と左拳の記述が反対になっていた。

採点ミス
大阪府:昨年度に実施した教員採用試験で受験者20人の採点で正答を不正解としたり、集計を間違ったりしたミスがあった。
堺市:昨年7、8月に実施した市立学校の教員採用試験で、受験者18人の答案に計19件の採点ミスがあり,1141点満点で最大5点の誤りがあった。
大分:中学,高校の英語で,誤った正解表に基づき採点するミスがあった。ミスを受け中学校と高校各1人が追加で合格。

   これらの出題ミスあるいは採点ミスで大分,山口は昨年に続いてのミスであり,福島は昨年解答が書き込まれた用紙を配布したことに続いて2年連続である。

   事前にまともな点検が行われていれば起こりえないお粗末なミスばかりで驚くばかり。埼玉の場合,印刷業者のミスに転嫁しようとしているように聞こえるがみっともない限りである。いずれも現場から抜擢された優秀な担当教科の指導主事さんが出題,点検にあたっているはずだが,「合否に関係しなかった」,「全員を正解扱いにした」などということで正当化できるものではない。

  こんな体たらくでは当該都道府県の教育行政の程度が知れると思われても仕方あるまい。現場の教員の指導に当たっているはずの指導主事さん,もっとしっかりしなさい。多忙なことなど何の言い訳にもなりませんよ。教員としてプロの自覚があればこんなミスは起こらないのではないか。
 
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