女性の活躍推進ですか |
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2014年8月2日(土) 政府の成長戦略の柱とされる女性の活躍推進が進められているという。 それも,2020年までにあらゆる分野で指導的地位に占める女性の割合を30%以上にするという数値目標があるのだそうだ。 すでに直近の中央省庁人事で4人の女性局長が誕生し、呼応して大手企業も数値目標を設けはじめた。その4人はそれぞれ,経産省貿易経済協力局長は東大卒で経産省同期で唯一の女性で夫君は中央官僚,外務省経済局長は東大卒で夫君は外務事務次官,厚生労働省雇用均等・児童家庭局長は女性の多い旧労働省出身者からの登用,法務省女性局長検事出身という。 ILOの調査(2008年)によれば、女性の管理職比率の国際平均は30%。アメリカ43%、フランス39%、ドイツ38%に対して日本はたったの9%でこれを改善することが、女性の活躍推進をする政府の成長戦略であり、首相は「女性登用促進のため、実効性の高い新たな法的枠組みを構築したい。スピード感をもって検討する」と述べ、新成長戦略でも「国や地方自治体、企業の女性登用の目標や行動計画の策定などを内容とする新法を制定する」した。 女性管理職を増やせば、それが経済成長につながるとでも言わんばかりの政府の方針があるらしい。諸外国と比べ女性の管理職比率があまりに低いから、そのことだけ見栄えをよくするつもりなのか。政府は大きな思い違いをしているようだ。 女性がなぜ仕事に就けにくいのか、続けられないのか。女性の管理職が増えるのは女性の就労者を増やしたことの結果としてついてくるものではないか。 女性の活躍推進を考えるために (1)男性社会と言われる現在の日本では、いまだ、「女は家庭に、子育て家事は女性の仕事」という考えから抜けだせないでいるのが現実である。総務省の「社会生活基本調査 生活時間に関する結果」によると、1986年から2011年までの25年間に共働きの夫の家事時間は6分から12分へ、育児や買い物を含めた家事関連時間全体でも15分から39分へ増えただけという。96年に共働き家庭数が専業主婦家庭数を上回り、その差は開くばかり。なのに男性は39分しか家事をせず、4時間53分の共働きの妻とは大きな隔たりがある。妻が働こうがそうでなかろうが、夫が家事に参加しないで済まそうとしているのは、「家事、育児は女の仕事」という考えから抜け出せない結果だろうが、男性の家庭での仕事分担の根本的な意識改革をすること、また男性が家事に参加できる仕事環境、つまり定時に退社できる環境がない限りどうにもならないだろう。 (2)残業代ゼロなどという愚かしい政策は早急に取り下げることだ。専門的な仕事を持ち、年収に下限を設けるから、成長戦略につながるなどと考えているようだが、やがては、あらゆる業種、職種、収入制限に関係なしの同様の残業ゼロがまかり通ることは、十分に考えられるからである。なぜなら、一日10時間もトイレにいく時間も与えられず、一月の残業が500時間もさせられることが罷り通っている。女性が安心して就労し、社会参加するためにはこうした、労働者を単に、消耗品にしか考えてない企業を、即座に摘発でき、社会的に認知されない社会風土を作ることである。 (3)生活が成り立つだけの、労働対価としての賃金を保証することである。厚生労働省の中央最低賃金審議会が最近まとめた答申では、最低賃金は16円引きあげられ、全国平均780円という。現在最低なのは、島根や熊本、沖縄など9県の664円。時間給664円で8時間働いて月10万円。これでは生活が成り立たない。病気になっても治療ができない。食べたいものを我慢して人として最低限の生活が成り立たない。国民年金の年金生活者が月当り64000円支給されても同様のことが起こる。 アベノミクスとやらで官製の賃上げで潤ったのは一部の企業だけであり、それをもって景気が上向いているなどと、いい気持ちになっているのは、まったくおめでたい話である。男女ともに、人として安心して生活できる、正規社員として最低15万円を超える賃金を得られるようにしない限り、女性の社会進出は望めない。 (4)都議会であった、女性の地位向上のための議論をしている場面で、明らかな性差別と思える悪質で無知蒙昧な、「結婚しろ」「産めないのか」などという質問者を愚弄、妨害する不規則発言を「ヤジ」と称し、少なくとも4名ものヤジが明らかになっているにもかかわらず、名乗り出ない不正義が有耶無耶にされているようなことが解消しないで、何が女性の活躍推進が成長戦略なのか、片腹痛い。 そのことで都議会自民党幹事長に初の女性が就任したが、彼女はヤジ問題について、「幕引きするつもりはないが、再調査よりも再発防止に力を入れていくべきだ」などと発言。関係者は「これで選挙民のご理解が得られるだろう」などと、選挙民を愚弄している発言をしている。東京都民は甘く見られたものだ。 このように、女性の尊厳を無視し、セクハラと思える行為がオリンピックを開催する東京都の議会で行われたにもかかわらず、幹事長の首をすげ替えただけで問題解決できるなどと考えている人物たちが姿を消さない限り、女性の活躍推進など笑止千万なことである。 だれしも、母親という女性からこの世に命を授かって生きていることを忘れ、力が弱いからと、女性を蔑視しているとんでもない、思い違いをしている風土が現在の日本国内にあることは疑いようがない。あらゆる分野で指導的地位に占める女性を増やすことより、性差別をなくし、人権を尊重できる人間を育成することに力を入れるべきではないか。特に地方、中央に限らぬ議員たちに。 経済成長より、人間の尊厳を大事に思う政治の方が歴史に残るものになるに違いないと信じてやまない。人権意識について日本は世界から程度が低いと思われていることを忘れてはいけない。 |
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