日々の抄

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 また、政治とカネなのか

2014年10月29(水)

  閣僚の「政治とカネ」の問題がたくさん報じられている。あまりにも、指摘されている数が多くなっているが、少しだけ書き出してみる。

 江渡防衛相兼安保法制相の資金管理団体が、資金管理団体から国会議員個人への金銭の寄付は、法で禁じられているにもかかわらず、2009年と12年、江渡氏個人に4回にわたり計350万円を寄付したと政治資金収支報告書に記載していた。「担当者の記載ミス」だそうだ。

 望月環境相の政治資金は収支が合わず。2008〜11年に開かれた「賀詞交歓会」と「ゴルフ大会」をめぐり、収入の記載がないのに支出計約742万円を政治資金収支報告書に記載していた問題で、望月氏は28日、閣議後の記者会見で「(賀詞交歓会については)家内が別の会合費と付け替えたのだと推測する。法令違反はない」、領収書も破棄済みで、改めての調査は「考えていない」と述べたが、付け替えが事実なら、政治資金規正法違反(虚偽記載)にあたる疑いがあるという。

 宮沢経産相は小渕氏の後任になったものの、外国人企業から寄付を07・08年に40万円受け、全額返金しているものの、外国人からの寄付を禁じる政治資金規正法に違反する可能性がある。また、資金管理団体が10年、広島市内の「SMバー」に交際費名目で政治活動費を支出していたことが判明。「SMバー」は政治的な話をするのに適した場所なのだそうだ。このため、過去の収支を調べていたところ、今回の寄付が分かったという。さらに、東京電力株600株の保有も問題視されている。閣僚の株保有について定めた規範に沿い、信託の手続きを取ると政府は説明しているが、エネルギー政策をめぐり所轄大臣の経産相が東電株所有は不適切というべきである。

 有村女性活躍相が代表を務める政治団体が、脱税の罪で罰金の判決を受けた鹿児島市の企業から計60万円の寄付を受けていたことが判明。有村氏の事務所は「初めて知った。寄付をいただいた後の起訴で、返金の手続きをすでに取った」としている。小里環境副大臣の資金管理団体も10年6月に同社からパーティー券30万円分を購入してもらっていたという。

 塩崎恭久厚労相は、地元老人ホーム事業者への口利き疑惑があると週刊誌に報じられるも、「記憶にない」「秘書がやったこと。秘書の教育不行き届き」と語っている。

 西川農水相は、親族企業から事務用品を購入していることが政治資金の私物化ではないかと指摘されるも、「地元には、事務用品などを非常に早く、かつ大量に調達できる店がほかになく特に避ける理由はない」として、今後も取引を続ける考えを示している。また、和牛オーナー制度が行き詰まり2011年に経営破綻、経営者が特定商品預託法違反罪で1審有罪判決を受けた安愚楽牧場から、10年までの5年間、同社から計125万円の政治献金を受け、また、長男が同社の顧問を務めていたこともあり、問題視されている。

 山谷 国家公安委員長は、在日韓国・朝鮮人に対するヘイトスピーチを繰り返す「在日特権を許さない市民の会」(在特会)幹部らとの写真が明らかになるも、知らなかったと抗弁していたが、山谷氏が支部長を務める「自民党東京都参議院比例区第八十四支部」の政治資金収支報告書によると、2010年に617万8000円の個人献金の中で、この在特会幹部と行動をともにしてきた関係者から、6万円の献金を受け取っていたことが判明。職責にふさわしい関係か問われるところである。
 
 有村女性活躍相、高市総務相、山谷拉致問題担当相の3閣僚は10月18日靖国神社を参拝。日韓両国に、会話の扉は開かれていると首相が語っているにもかかわらず、A級戦犯を合祀していることに問題ありと指摘されている、靖国神社参拝をしている閣僚が、「戦地に赴き命を捧げられた方々にどのように向き合うか、追悼するかは国民が決める話。他国に参拝せよとか参拝するなと言われる話ではないと認識している」とするなら、こうした国益を損ないかねない信条をもつ人物は閣僚の立場にあるべきではない。
 
 松島前法相、小渕前経産相については書く気がしないが、物品を選挙民に配ったり、観劇に招く手助けをしたり、化粧品、ベビー用品を配ることが政治活動であると考えていることに、少なからず時代錯誤感と落胆を覚える。特に小渕氏は小生の住む群馬県が輩出している議員なので、恥ずかしささえ感じる。父親の代からの金庫番を信じすぎた結果と思えるが残念至極である。
 
 小渕氏の選挙区内に住んでいた、かつてはその地域の顔だったらしい年配の住人が、小生の居住する地域に転居してきた。だいぶ以前のことだが、選挙が近づいた時、彼が我が家にやってきて、誰それに投票をしてくれと言う。だが、他に投票先を決めているからと断るが、しつこく勧誘されるも断った。渋顔で帰った彼は、近所の住人に、あいつは俺の言うことを聞かない、年寄りの顔を潰したとふれ回ったと聞いた。小渕氏のあまりにも放漫な資金管理、選挙民の連帯を聞くにつれ、自分が経験したことと無関係ではなさそうだと感じた。
 
 現政権は、たるみ、奢り、傲慢、怠慢の限りを尽くした所業に呆れるのみであり、安倍一次政権が崩壊したのと同じ道を辿っているように見える。政治家自身が責任を追うべきものを、秘書が、妻がやったと責任転嫁する姿はあまりに醜態である。また、書き間違えました、訂正申告をしました、などは、分からなければそれまでということの裏返しである。小渕氏も大臣にならなければ、いままで通りの政治活動を続け、旧態然とした「政治とカネ」とつきあってきたのだろう。
 

 安倍政権は、「道徳教育」を教科にし、健全な日本人の若者を育成するなどと言っているが、これだけいい加減な「政治とカネ」に浸っている政治家先生に、道徳教育などと言われたくない。道徳は、大人たちが子どもに、「ああいう大人になりたい」「ああいう生き方をしたい」と思わせることではないか。

 現政権が語る「道徳」など「ちゃんちゃらおかしい」。

 
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