分岐点に思う |
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2014年12月1日(月) 衆議院選があす公示される。与党はアベノミクスの評価を国民に仰ぎたいという。 国民はこの選挙投票に何を判断の基準にしようと思っているのか。朝日新聞の最新の世論調査によれば,「景気,雇用対策」47%,「国会議員の定数削減」33%,「子育て支援・女性の活躍」30%,「諸費税の引き上げ延期」29%,「地方の活性化」19%,「原発再稼働」15%,「集団的自衛権の行使容認」12%という。「この2年間の政府の経済政策が失敗だったと思う」30%,「憲法解釈を変えて集団的自衛権を使えるようにしたことを評価する」32%,「しない」50%,「原発再稼働賛成」28%,反対56%,また,「安倍内閣を支持する」40%,支持しない39%であった。 この世論調査結果が示す,国民が望む今後の日本の姿は,賃金が上がれば,安全性はともかくベースロードとしての原発の再稼働を認め,場合によっては自衛隊が米軍の要請により地球の裏側まで出動することをよしとすることを認める安部内閣を40%の国民が支持している,ということになりそうだ。また,福祉,介護に必要な予算がまわらないことが起こることを認め,生命の危機に瀕する人々が出ても致し方なしとすることなのか。 各政党が国民に訴えている,かつてのようなマニフェストに書かれていた,定量的な公約がないということはどういうことか。政党の責任回避以外の何物でもない。たとえば,消費税を一年半後に上げても,「軽減税率を導入するよう努力する」という程度で,なんとでも言い訳できるような公約に国民は納得しまい。なぜなら,自民,公明,民主の三党合意が成り立つことを条件として,国会で,安部氏が「約束します」と明言していたことが,当然のことのように反故にされながら,衆院を解散していることは忘れまい。 自分に都合の悪い,インタビューでの意見を,声を荒げて「事実と違う」と首相が絶叫し,TV各社に,公正な報道をせよと首相側近が,圧力をかけるようなあからさまな行為は,実にみっともない,権力を持てば何でもできるとする思い違いである。 国民は,自らおよび家族の生命,安全,また海外まで出兵することで日本国が他国から攻撃するかもしれないことを想像して,これからの国の進むべき道を決める選挙に臨むことが望まれるのではないか。 目前の経済的利益だけを判断の材料にすることの危うさは感じなければなるまい。雇用が増えたことが政策の成功例だというものの,2013年平均の役員を除く雇用者5201万人のうち,正規の職員・従業員は3294万人と,前年に比べ46万人減少。非正規の職員・従業員は1906万人と,93万人増加している(総務省2014年5月30日掲載の労働力調査年報)が,このことは,いつ解雇されるかわからない不安定な雇用条件の非正規社員の割合が雇用者の36.6%にも達していることを示している。 女性の雇用推進,子育て援助などのうたい文句の前になすべきは,正規雇用を当然とする雇用形態を義務化することではないか。 社会格差をなくす根本問題は,庶民に消費税を増加させ,大企業優先の企業減税をするなどという愚かなことをしないこと,大企業の何百兆円にもおよぶ内部留保金を放出させたり,相応の課税することが実効ある方法である。円安効果で労せず何兆円もの利益を得ている企業は,正規雇用を増やすなり,製品を安くするなり,見える形で社会還元することを望みたい。今のままでの状態が格差の現況であることを知るべきである。 税率8%に引き上げられた消費税の使途は、年金、医療、介護、子育てという「社会保障の4経費」にしか使わないということが法律にすでに定められているにもかかわらず,実際はどれほどなのか。見える形で示してもらいたい。三党合意で決められた10%に増税できない理由を,「増税しても税収が上がらなければ意味がな」と首相は述べているが,その前に,「約束が守れなくて申し訳ない」と国民に謝罪することが,先になすべきことではないか。 間違っても,円安で利益を得ている企業は,自分たちの利益を誘導するような政治献金をしないことだ。原発関係の企業も,自分たちに利益を導くことにつながる,研究者への研究費供与,地方自治体への資金供与をすべきでない。 関西、中国、四国、北陸の4電力の関連会社や子会社が福島第1原発事故から昨年までの3年間に、自民党の政治資金団体「国民政治協会」へ、判明しただけで計3228万円を献金。関電は歴代首相計7人に年2000万円を、72年から18年献金。原子力規制委審査会6人に、電力会社側から研究費として最高3270万円が献金されている。 こうした献金が国民が支払っている電気代から支出されていることは腹立たしい限りだ。ましてや,税金から政党助成金が与えられているにもかかわらず,影響力のある政治家への政治献金は利益誘導が見え透いている。政治家への献金と贈賄とどこが違うのか分からない。 新聞の川柳に <誰(た)がためにカネは成る> とあった。云い得て妙である。 富が偏在している社会は長続きしない。今回の衆院選挙は,目先の利益でなく,子,孫の代を見据えた将来の日本を姿を考えた注視,参加が望まれるのではないか。日本は大きな岐路に立っている。 |
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