政治は変わるのか |
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2014年12月13日(土) いよいよ明日は衆院選。この選挙の結果によって、日本は防衛、エネルギー政策、国民の安全、憲法改正など、今まで溜池にあった水がどっと堰を切って溢れだし、庶民の意思に願わない大きな流れに流されないことが起こるだろう。 今回の選挙ほど、TVで政策についての報道が少なかったことはあるまい。それは政策報道が視聴率を高めることにつながらないからだという、また、自民党によって、「選挙報道を公正に、街頭インタビューも偏った報道をするな」などとTV局に文書を送り、政治的圧力がかけられていることも無関係ではなさそうだ。 それにしても、マスコミの報道には毎回の選挙で国民の選挙を誘導しかねないものがある。その最大の内容は、選挙の事前に結果が自明であるが如きものである。各種の調査に基づいているのだろうが、選挙の事前に大勢が決まっているが如き報道をすれば、自分の一票に価値を見いだせかねず、投票行動に影響を与える。 毎日新聞12月4日 「自民300議席超す勢い 民主70前後 共同通信社は衆院選について2、3両日、全国の有権者約12万1700人を対象に電話世論調査を実施し、公示直後の序盤情勢を探った。自民党は小選挙区、比例代表で優位に立ち、公示前の295議席を上回る300議席超を獲得する勢いだ」 同12月10日 「比例投票先、自民35% 民主11%」 読売新聞12月12日 「自民300議席うかがう、与党3分の2の勢い 自民党は好調を維持し、小選挙区と比例選合わせて300議席をうかがっている。公明党も堅調で、与党で定数の3分の2(317)の議席を獲得する勢いだ」 朝日新聞12月4日 「自民、300議席超す勢い 民主伸び悩み、維新不振。自民は単独で300議席を超える勢いで、公明とあわせて定数の3分の2(317議席)を上回る可能性がある」 などの選挙事前の大勢が決まっているかのような調査結果をなぜ報道する必要があるのか、大いに疑問である。今回の選挙の争点が、「アベノミクス」だけであるかのような報道もおかしい。今回の選挙の結果は、「原発再稼働が当然のように行われる、集団的自衛権を認めることが国民の総意である、秘密保護法を容認し、沖縄密約にあったようなことが国民に知らせらることは起こりえなくなる」などを、「国民の支持があるから」と公然と行われていくことにつながることを忘れてなるまい。 選挙において、有権者が勝ち馬に乗ろうとする「バンドワゴン効果」というものあるそうだ。「皆が、そういっているから」と、その後自分に降りかかる問題を考えることなく、世の中の流れに従うというものだ。自動車を運転している時、大型の対向車とすれ違うときに、離れれば安全であることはわかっているが、知らぬ間に対向車に引き寄せられていくことに似ている気がする。 一方で、劣勢と報道された政党や候補者に支持が流れる「アンダードッグ効果」というものもあるそうだ。一強にすると危ない、と考えての効果なのだろうが、果たして今の、経済一辺倒に見える日本でこのようなことが起こるのか。 前回第46回衆院選の全国の投票率は60.1%だったが、20〜24歳は35.3%、25〜29歳は40.3%であった。年金、社会保障を考えると若者の投票率が低いことは、自分の将来への責任を果たしてないことになるのではないか。若者の投票率が高ければ、政治は若者に有利な政策を考えざるを得なくなることに気づくべきである。 年金制度についての若者の新聞投稿に「消費増税後も、今の制度のままなら若者の年金は高齢者より少ない。現実を度外視して、増大する高齢者を支えてあげるほど、我々はお人よしではない」として年金給付額を減じるべきというものがあった。現在の年金だけでも生活に窮している高齢者がいることを考えてのことだろうか。自分たち若者が高齢者を食べさせてやっているのだ、などという思い違いは、そもそもこうした年金制度は個人でどうこうできることではない。どこに問題があるのかを政治に求めるべきことである。そのためにも、選挙で一票を投じる責任を果たすべきである。投票にいかず、ネットの匿名書き込みで無責任で過激な書き込みをして自己満足をしているだけでは、世の中は何も変わらない。 海外に目を向ければ、投票すらできない国も少なからずあることを考えれば、投票して政治に参加できるありがたさを感じてはどうだろうか。 あす、地域によっては大雪が懸念されている。投票率が低ければ、支持政党を持っている政党にとっては有利と伝えられている。果たしてどうなるのか。 たった一票されど一票である。 |
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