日々の抄

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 まもなく五輪

2016年7月19日(火)

 リオデジャネイロオリンピック開催まで17日に迫った。
 リオ市内で強盗が頻発している様子をニュース映像で見た。歩いている観光客らしき人物の持ち物を強奪、逆らえば暴力行為におよび、通行中の女性のネックレスを引きちぎって奪っていた。バスの窓に手を伸ばして荷物を強奪する様子も見た。最近は、市内で銃の撃ち合いがあり、流れ弾がいつ飛んでくるか分からない状態にあるという。

 スペインの五輪代表選手が武装した強盗に襲われ、日本のテレビクルーが車上荒らしで備品などを盗まれ、6月には海岸付近でオーストラリアのパラリンピック選手が強盗被害に遭うなど、被害と不安が広がっている。強盗発生件数は日本の500倍という。はたして、犯罪行為の動機が貧困だけなのだろうか。
  
 警察官、消防士の集団による大規模なデモがあり、横断幕に「Welcome to Hell = 地獄にようこそ」と書かれていた。治安維持に当たるひとびとが、こんなことをすることにはそれなりの理由がある。自分たちは何ヶ月も給料を貰っていないのだ、という。また、競技会場などの警備に当たる国家治安軍の一部隊員が、給料支払いの遅延や劣悪な宿泊環境に抗議を続け、待遇が改善されなければ任務を放棄すると訴えているという。
 政府会計の粉飾に関わったとしてルセフ大統領は弾劾裁判により、オリンピック開会式には大統領として参加できないという異常事態にあり、各地で治安が確保されているとは言い難い。消防署員の一人は、「日本人はリオに来ることなく、自宅で、すしを食べながらTVで観戦するといい」と、実感を込めて語っている。
 
 ISのブラジル人メンバーがフランス選手団を狙ったテロ攻撃を計画していた疑いがあると、フランス治安当局のトップが語っていた、などということが報道され、日本選手団がぞくぞくブラジル入りしている中、マラソンの下見は車の中からにしたり、マラソン応援を集団で行うことを避けることにしたという。
 
 はたして、安全なオリンピックが行われるのか。ドーピング疑惑でロシア全ての競技の不参加の可能性があるという、今までにない不安定で何が起こるか分からない大会になりそうだ。少なくともこんな状態では、スポーツの祭典などという言葉は当てはまりそうにない。

 一方で、蚊が媒介するジカ熱が案じられている。最新の情報によると、ジカ熱に罹った女性から男性へ感染したことが報道されている。こうなると、オリンピック代表に選ばれた選手は意気揚々と現地に向かっているが、治安、罹病などを鑑みれば、選手に選ばればなかったことが幸いだったなどということが冗談だったと言えるよう願いたいものだ。

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