日々の抄

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 政治がおかしい

2017年5月25日(木)

 政治が迷走している。その原因のほとんどは首相の暴走的な政治手法にある。
森友問題では、「私人」と閣議決定さえした首相夫人の私的行動に公務員が随行し、首相夫人は何を感違いしているのか、随行公務員を「秘書」などと呼んでいる。思い違いに滑稽ささえ感じる。
 森友学園の敷地獲得で国民の多くが納得できないと言っている8億円余という非常識な土地価格の値引きの根拠はいまだ説明されてない。地下深くまでゴミのあったことが値引きの理由とされていたが、「3メートル以深にゴミない」という籠池氏委託業者のメールがあるなら、現地で調査をすれば白黒が明白になるのに、なぜ調べようとしないのか。

 何億円も値引きしたことに関係した関係官僚は、法に則った結果であり、関係書類は廃棄したのでない、などと信じられない醜態を現している。公開した文書も大半が黒塗りであることは、説明できないことをしていると証明しているようなものではないか。官僚の保身は見え透いている。
 最低限の生活を営むための数万円の生活保護が、予算が少ないからと書類の受理さえされないことがある。女性が働きたくとも保育園が不足していて働きに出られないことが深刻な問題になってきて久しい。「女性活躍」が呆れる。訳の分からない土地価格の値引きの国費をどうしても必要な人の元に配れないのは政治の貧困である。
 
 首相夫人が私人とされながら、土地購入に何らかの形で関わっていたと多くの国民は思っている。なぜ政府は正直に答えようとしないのか。時間が経過すればいずれ忘れるさ、と国民をなめきった結果としか思えない。そうできるのは、内閣支持率がさして低下してないからだろう。現政権に変わる政党がないから仕方ないと思っているなら大きな誤りである。政治の誤りは、誤りとして一人ひとりが意思表示することが求められているのではないか。一強政治と言われているが、現政権を傲慢にしている元凶は、ひとえに国民であることの自覚は持つべきである。
 
 「自分や妻が森友学園の土地取引に関係しているなら議員を辞めますよ」などと、首相が強弁したことが事を荒立てられている。国会審議で、「ズブズブの関係とか、そういう品の悪い言葉を使うのはやめたほうがいい。それが民進党の支持率に出ている、などと見当違いなはぐらかした答弁をしているが、首相は昨年の北海道5区の補欠選挙で、「民進党と共産党がこんなにズブズブの関係になった選挙は初めて」と語っていたことを忘れているのか。自分は使っていいが野党議員だと品が悪いというのか。自己愛も甚だしい。行政最高責任者としての品位が全く感じられない。正に裸の王様である。

 首相の親友という人物が経営している加計学院に関する認可も不自然で、特別な政治的力が働いたとしか考えられない。「総理の意向」が働いたとして認可経過をマスコミに暴露したとされる、すでに退職した元文科事務次官の、法令には何ら抵触してない私事を、22日付けで政府の広報誌になったとしか思えない「読売新聞」に暴露し、証言者を貶めようとしている、まるで小説にでも出てきそうなことが発覚している。首相は野党の質問に対し、「関係していることはありえない。そんなことは当然だ」「そんな質問をして責任をとれるんですか」などと恫喝まがいの答弁をしているのは、後ろめたい気持ちあってのことなのだろう。
 
 
 また、首相に改憲の発議権がない憲法改正を公にした。国会で問われると、発言は自民党総裁としてやったものだと立場を使い分け、「(国会答弁には)首相として立っており、総裁としての考えは読売新聞を読め」と述べた。これほどの国会軽視はない。また、教育の無償化をするためには憲法改正が必要だとお為ごかしに言っているが、無償化は法律を変えればできること。国民への懐柔策としか思えない国民を嘗めている物言いである。
 改正内容は第9条という。自衛隊を明記するが、第1,2項は残すという。自民党の憲法草案にない発議である。それも2020年までに改正したいというから、首相は国のため、国民のための改憲でなく、自分が首相である内に、自らのための改憲をし、歴史に名を残したいと企てているとしか考えられない。
 「多くの憲法学者が自衛隊を違憲だとしているから改憲する」のだ、としているが、「学者の九割が違憲と言った安全保障関連法をなぜ強行採決したのか」。自分の都合に合わせて強弁していて甚だ腹立たしい。
 
 首相に関係していると疑われている、森友学園、加計学園問題について、首相は「李下に冠を正さず」という故事を味わうといい。疑わしいことがなければ、見苦しはぐらかしや言い訳の答弁、資料の廃棄、黒塗り書類の提出などという、疑いを自ら認めているような愚行は一日も早くやめて、事実を白日の下に晒すべきである。焦って改憲を急げば自らの足下を危うくすることを知るといい。
 
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