日々の抄

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 予想通りだが  

2006年01月21日(土)

 BSEの危険性が高いため輸入が禁じられている脊柱が、成田空港の動物検疫所で米国産牛肉から20日見つかり、政府は再び全面禁輸措置をとる方針を決めた。背骨は脳などとともにBSEの原因物質が蓄積しやすい「特定危険部位」(食品安全委員会によると,背骨にBSE原因物質がたまる割合は3.8%)で、除去の義務づけを条件に昨年12月、政府は米国産牛肉の輸入を一部再開したばかりだった。政府が対米関係を配慮して解禁を急いだ対応に対することへの責任が問われて然るべきではないか。

 対象牛肉は米国の畜産業者「アトランティック」が東京都の業者向けに輸出したもので,390キロ(41箱)の牛肉のうち、55キロ(3箱)で混入が確認されたという。 輸入再開の条件だった,「対象を生後20カ月以下の若い牛に限定,特定危険部位を米国側で取り除く」ことが,輸入再開早々にして反故にされたことになる。米農務長官は「背骨が入っていけないことが徹底していなかった」と述べ,あれほど日本が神経を尖らせていた「約束」を「徹底してなかった」で済ませることはできまい。
 米国産牛肉の輸入再開にあたって、食品衛生と動物検疫の専門家を米国に派遣し、日本向け牛肉を扱う処理場や牧場で輸出条件が守られているかの査察を始めているというが,どの程度の人数でどのような査察をしていたのか知りたい。そうした情報がなぜ報道されないのか。マスコミもしっかり注視し報道することを望みたい。仮に米国産牛肉が日本の市場に流通した後に今回のような内容が発覚したならどういうことになるのか。確実にBSE感染者が現れるに違いない。米国牛肉を食べるのも食べないのも「自己責任」というなら,政府など不要である。

 焼き肉店など外食産業などの中に,安全が確かでないから当分見送る,とした業者は正しい判断だったと言える。牛丼を望む人が多いから輸入牛肉を一日も早く提供したいとしている業者は,その結果が生命を危うくすることをどう思うのか知りたい。
 中川農水相は「極めて遺憾。きちっと調査をして、米国政府に厳重な申し入れをしたい」とし,首相も「米国にしっかりした対応を求める」との報告を同意。適切な対応をとるよう指示したというが,米国大統領と親しさを公言しているのなら,直接大統領に電話して抗議することを考えないのか。
米国の牛肉業者の要請が強いからという経済問題ではない。命に関わる政治問題であることを関係者は再確認すべきである。

 米国は牛肉輸入条件を生後30カ月まで緩和するよう要請し,日本への禁輸期間中に豪州やニュージーランドに奪われた日本市場を取り返すため、売り込みに力を入れ,『「すべての国が国際基準に従うよう促していく」として、輸入対象を30カ月以下に拡大するよう求めた。』と言うが,とんでもない話しだ。食の安全に対する米国の考え方が一日も早く国際基準程度になるよう望むのみである。

米国は日本人をなんだと思っているのか。まったく腹立たしいふざけた話しではないか。

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