日々の抄

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 国民をなめるな

2018年4月1日(日)

 衆参両院で行われた森友問題の佐川証人尋問のライブ放映をほとんどを観た。
森友問題で最大の疑問は、@八億円もの値引きがなぜ、何のために行われたか、A複数の閣僚経験者の秘書からの財務局への問い合わせ内容や、安倍晋三首相の妻、昭恵氏と学園との関係が記載されていた文章がなぜ改竄されたのか、B安倍首相、同夫人が関与していたのか、にある。

  証人尋問で明らかだったことは、与党自民党による、異常な値引きが財務省の独断で行われたという印象付けが行われたことである。証人尋問に先だって行われた、19日の参院予算委員会で、自民・和田政宗氏は、「太田充理財局長は、民主党政権時代の野田佳彦前首相の秘書官も務めていた。アベノミクスをつぶすために、安倍政権をおとしめるために、意図的に変な答弁をしているのではないか。」などという、明らかに森友問題が財務省による財務省だけの「勝手な忖度による犯罪」と言わんばかりの質問をした。後にこの発言が適切でないと撤回した。政権へのごますりの語るに落ちた発言であり、程度の低い代議士を証明したに過ぎない。

 丸川珠代氏は証人尋問で、「書き換えを誰が指示したかは国民の大きな関心事だ。佐川氏や理財局に安倍晋三首相からの指示はありませんでしたね。」
「首相夫人からの指示もありませんでしたね。」
「官房長官、官房副長官、首相秘書官からの指示はあったか。」
に対して、佐川氏は全て否定。最後に「書き換え、売り払いの取引に総理、総理夫人、官邸の関与がなかったと証言が得られた」などと脳天気な発言をしている。
 財務省だけが悪者になって事態を一件落着にしたいと思っているような猿芝居をどれほどの国民が真実とおもっているのだろうか。丸川氏は国民をあまりにも嘗めているのではないか。

 佐川氏は、『交渉履歴を確認しましたが、破棄した』と答弁したのは虚偽だったのか」と質問に対し、「確認と言ったのは文書管理規定を確認したという意味。申し訳ありませんでした」などと回答し、政権からの関与はなかったと言っておきながら、肝心な上記@、Aに対して、証言拒否をしている。証言拒否は「やましいことと同義」であり、衆参の証人喚問を通じて、なぜ「総理夫妻や官邸からの指示はなかった」といえるのか。「指示がなかった」という台詞は、自ら関与したものでなければいえないことに佐川証言の致命的矛盾があるのではないか。

 上記Bについて、首相は「書き換え前の文書を見て、私や妻が払い下げや学校の認可に関与した事実はなく、関わったことにならないのは明らかだ」と繰り返しているが、犯罪行為で家族の証言は証明にならないことは誰でも知っていることであり、これを信じる国民はほとんどいまい。(「納得できない」と国民の72%が思っているという調査結果が出ている)

 首相夫人の昭恵氏は、森友学園が開校を予定していた「瑞穂の国記念小学院」の名誉校長と、加計学園が運営する「御影インターナショナルこども園」の名誉園長を務めていた。いずれも両学園を巡る問題が国会で取り上げられた後に辞任しているが、このことが1年もの浪費をして、政治不信を招いたことへの政権の反省の弁がないことに、さらなる政治不信を招いていることに多数与党は猛省すべきではないか。また、首相夫人の世間離れした、権力があるかのような思い違いは救いようがない。彼女の罪はあまりにも重い。

 多数があれば政権の疑わしい行為も認められるなどと与党に思わせている元凶は、彼らに多数を与えた国民にあることは自戒すべしである。佐川氏の役人根性があまりにも哀れである。



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