日々の抄

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 何がそうさせているのか (その1)

2018年7月30日(月)

 182日間にわたって開かれた通常国会が22日に閉会した。だが、その中身は「異常」国会だった。
 ● 森友、加計問題
 森友、加計問題は何も真相が明らかにならなかった。分かったことは、誰かが嘘をついていること、都合の悪い文書をないことにし、政治家が責任を官僚に転嫁していることだ。
 首相は詭弁と強弁を重ね続け、どこが「丁寧に真摯にお答えする」なのか。知らぬ顔の半兵衛を決め込めて、数の力を借りて野党をねじ伏せてきたのではないか。
 自民党議員の思い上がった発言は、この国の民主主義を破壊し、政治が国民のために行われてないことを明らかにしてきた。その例をいくつか挙げれば以下の通りだ。
 
 加計問題で、首相と加計氏が愛媛県文書に記載された2015年2月25日の愛媛県文書に「加計理事長が首相と面談し、首相は”新しい獣医大学の考えはいいね”と会ったことに対し、首相は「話したことはない」と言い、加計氏は「加計学園の職員がでたらめを言った」とした。加計氏は、首相との面会について「記憶にも記録にもない」と否定。
 旧知の仲の二人が新学部についてなんら話し合わなかったなど信じる人はいまい。加計学園の申請について、特区の事業者が正式に決まった今年1月20日になって首相が初めて知ったと答弁したことに無理がある。
 辻褄の合わぬことを、加計学園の事務長の責任に押しつけ、すべてを解決しようと画策したはずだが、首相は架空の面会話で名前を悪用されたことになるにも関わらず抗議することも咎めることもしなかったことも不信感を膨らませただけだった。県への虚偽説明がなぜ三年以上も隠蔽されていたのかの説明はない。加計学園職員の虚偽の説明がありながら、獣医学部が新設され県と市で93億円もの補助支払われることに正統性はない。
 
 森友学園問題では、首相夫人との関わりを必死に否定したかったが、八億円もの国費が無駄遣いされたことの明快で納得できる説明はなされなかった。そもそも公務員でもない首相夫人が何を勘違いしてか、森友学園の小学校開設に口を挟み、公務員数名を秘書につけているのは正常ではない。政府は2017年3月14日に「首相夫人は公人ではなく私人である」とする答弁書を閣議決定している。
  だが、首相夫人が全国のあちこちに秘書としている公務員が、選挙活動を含め、旅行命令書なしに出張することは、国家公務員旅費法違反の疑いがある。公務員を「私人」の秘書にすることに無理がある。都合のいいときは公人扱い、悪い場合は私人扱いなど笑止千万だ。
 首相夫人がどのように関わっていたかについて、政府自民党は数の力で夫人の国会喚問を拒否。夫人付きの公務員谷氏を外国に飛ばし、国民が知りたいと思う真相を闇に葬った。

 加計、森友問題は、官僚に責任を負わせて政治家は一切関知しないという納得のいかないことが現状だが、決してこれらの問題は一件落着してないと多くの国民は思っている。
  最新の世論調査によれば、森友学園や加計学園を巡る疑惑解明に、「政権が適切に対応していない」と答えたのは75%(5/21朝日)、加計問題疑惑は晴れてない83%(7/16朝日)、森友、加計問題の解明に引き続き取り組むべき50%(7/16朝日)、森友、加計問題について安倍首相の説明に納得してない75%(7/30毎日)、安倍首相に責任がある61%(7/30毎日)という結果を首相、政府、自民党はどう受け止めているのだろうか。
  民間会社なら、部下の不祥事があれば上司が責任を負うのは当然だが、財務大臣は公文書改竄がなぜ起こったかについて、「それが分かりゃ苦労せん」などと嘯いている。これほど無責任きわまりなく、国民を愚弄していることはない。森友問題ではひとりの公僕の死者を出し、官僚に嘘をつかせ、公文書の改竄させたことに心の痛みを感じることはないのか。家族も社会的地位ももっている役人が自ら進んでこうした行為をする理由は全く見当たらないのではないか。(続く)

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