何がそうさせているのか (その2) |
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2018年7月31日(火) ● カジノを含む統合型リゾート(IR) 刑法が禁じる賭博を例外的に民間事業者に認めるための事業者の資格要件をはじめ、251もの条文から成るものを審議時間が衆参あわせて40時間ほどしかなく、国民の多くが理解してない。この法案について世論調査では、必要ない 76%(7/16朝日)、評価しない 65%(7/30毎日)であった。 ギャンブル依存症が増えるとの懸念は当然だが、首相は「世界最高水準の規制」で臨む。”週3回、28日間で10回”の入場制限」、としていることそのものが依存症なのではないか。また、便利だという理由で、事業者が客に金を貸すことも認められたことは、ギャンブル依存症を増加させることに直結している。 韓国での例を見ると、韓国北東部、江原道旌善郡(カンウォンドチョンソングン)のカジノリゾートにやってくる1日平均8千人余りの利用者の6割は「賭博中毒者」という。カジノ場周辺には質屋が多数作られ、関係者によると「賭博中毒者は財産も社会的信用も失い、完治という言葉はない。日本でも自国民が利用できるカジノを作れば必ず起きる問題。まして大都市につくるのは自爆行為だ」と警告している。 競馬などの公営ギャンブルやパチンコが原因とみられ、生涯で一度でも依存症だった疑いがあるのは成人の3.6%、約320万人と推計されているという(ギャンブル依存症に関し、1万人を対象に昨年度行われた国立病院機構久里浜医療センターの調査による)。 カジノ解禁を東京五輪後の成長戦略に位置づけるというが、他人の不幸で国家の成長に繋げようなどという考えは、国家としてお粗末かつ、さもしい考え以外のなにものでもない。カジノを認めることは亡国の法案といえる。カジノ解禁の裏に何かの利権の動きを感じないわけに行かない。 ● 働き方改革関連法 残業時間の上限を原則で月45時間、年360時間としたうえで、「業務量の大幅な増加など臨時的な事情がある場合」としつつ、臨時的な場合の月単位の上限は「1カ月で100時間未満、2〜6カ月の平均で80時間以内」(休日労働を含む)で、「過労死ライン」と呼ばれる労災の認定基準がもとになっている。月45時間を超えることのできる月数は年6カ月までとした。これは、過労死するかもしれない限界まで認めるということではないか。1月に100時間の残業が仮に一度でもあれば、それだけで過労死に繋がる可能性があるとは考えないのだろうか。 高度プロフェッショナル制度(高プロ)は労働法制上、初めて労働時間規制をなくす制度で、労働時間や休日・深夜の割増賃金の規定が適用除外となる。この制度の重大な問題点は、「具体的な運用は今後省令で定め、職種は金融ディーラーやコンサルタント、研究開発職などを想定している」としていることだ。つまり、省令で決められるなら、国会審議不要で、職種がなし崩し的に拡大されることにある。最悪の場合、すべての職種に対し、労働基準法の適応がなくなり、つまりは経営者の都合で、残業代もなく、労働時間制限がなくなり、「過労死」というものが存在しなくなる。 この法案は、働く者を消耗品と考え、働く者の立場を考えず、財界からの圧力・要請によって強要されたにすぎない。財界からは多額の政治資金が政治家に配されているから、政府、与党は従わざるを得ない結果だろう。 ● 参院定数6増の改正公職選挙法 議員定数を減ずるとばかり信じていたが、まったく逆に定数を増やすという信じがたい法案である。合区問題だなんだかんだと理屈をつけているが、なんのことはなく、与党の現職が失職しないための法案であることは見え透いている。 通常国会で通過した法案、度重なる与党議員の暴言・失言、西日本大災害が始まり、多数の死刑執行の前日の浮足立った自民党議員の姿を見ると、今の政治は、国民のためになされているなどとは到底思うわけにいかない。 これほど政治不信があるにもかかわらず、内閣支持率が劇的に低下しないどころか、上昇することもあるということを見ると、すべての元凶は国民にある。TVの御用コメンテーターの「野党がばらばらだから」、などという喧伝にのせられていないか。政治に不正義がないか、国民に目を向けた施政がなされているかを見極めなければならないのではないか。「不都合があっても、時間が経てば国民はすぐに忘れるさ」などと政治家に舐められていることを黙認するわけにいかない。 ひとつの言葉を思い出す。 「大衆の多くは無知で愚かである。嘘を大声で十分に時間を費やして語れば人はそれを信じる」(ヒトラー演説) 自民党は衆院で投票数の1/4しか得てないにも関わらず、過半数の議員数を占めることができる「小選挙区制」が民意を反映できない政治がまかり通っている元凶なのではないか。選挙制度を変えない限り、この国で民意を政治に反映させることはできそうにない。 |
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