日々の抄

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 暑さ極まれり

2018年9月1日(土)

 昨日の報道によると、埼玉県加須市では、「公立の幼稚園や小中学校の教室にエアコンがないことから、最高気温が35度以上など猛烈な暑さが予想される場合には、臨時休校にする対策が来月から始まることになりました」とあった。
 加須市にある公立の13の幼稚園と30の小中学校では、教室にエアコンが設置されてないので、これまで扇風機で対応してきたが、記録的な暑さの対策として、
「具体的には、気象台による数日前の予報で最高気温が35度以上で最低気温も28度以上と、猛烈な暑さが予想される日は、すべての幼稚園と小中学校を臨時休校にする」という。

 公立小中学校の普通教室の空調装置設置率(文科省調べ2017年)の都道府県別上位は東京(100%)、香川(97.7%)、福井(86.5%)、群馬(85.7%)、京都(84.0%)で、埼玉県全体は 76.1% で10位である。全国平均は49.6%である。(下図参照)
 
 暑さ対策として加須市と同様に休校にしたり下校時間を早めることで知られているのはドイツである。
 ドイツには、「Tropenplan =トロッペンプラン(熱帯日程)」と「Hitzefrei =ヒッツェ・フライ(暑さ休み)」があるそうだ。
 「Tropenplan」は、暑さ対策のため普段の45分授業を、30分授業さらに休憩時間も短くした日程で授業を行う短縮授業である。授業を全て受けることができる利点の反面、暑い昼過ぎまで授業を行わなければならない難点がある。
 一方の「Hitzefrei 」では授業は普通の45分で、5時限まで(12時頃)迄しか授業をしてはいけないので授業数が減る難点がある。
 実施方法はは州によって、異なり、気温が25度から30度度を超えた場合に校長の判断で実施されるという。ベルリンでは、気温に関する規定はなく、校長判断に委ねられているという。
 児童の健康管理を最優先するためである点は、学校で死者が出るほどの暑さであっても、決められた授業を勤勉に実行している日本とは、最優先項目が異なる点は見習うに値するのではないか。
 「Hitzefrei 」と 「Tropenplan」が適用された場合、学校は、宿題を出すことも禁止されているので、子供たちにとってなんと優しい国ではないか。ただしこれらは日本の小中学生の年齢までで、それ以上の年齢の学生には適応されないという。

 加須市の今回の英断は時季を得たもので、他の教育委員会も児童の健康と安全を考えて続くことを期待する。
未だに、「子どもに冷房など不要」などと精神論を語っている政治家は、自分が児童と同じ環境の生活を1週間でもしてみるといい。昨今の暑さは従来と全く異なる、命に関わるものと認識すべきである。暑さは年齢に関係ないことが分かるだろう。それにしてもドイツのように子どもの「いのち」を第一に考えている国は素晴らしい。



文科省資料「公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況調査の結果について」より作成


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