日々の抄

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 COVID - 19に負けるな

2020年2月24日(月)

新コロナウイルス感染による肺炎患者が激増している。クルーズ船•ダイヤモンド•プリンセス号を降りてから、栃木県の女性が初めて発症した。北海道、石川を始めとして増えている市中感染と思われる発症の様子を見ると、全国に広がっていくことは明白である。24日午前の段階で、クルーズ船内の感染692名。国内の感染者143名、死亡4名に至っている。

政府の対応にいろいろ問題があった。そのいくつかを書き出してみる。

 ① クルーズ船内で陽性反応が判明した段階で、全員の検査をすべきだった。政府は、検査能力が不足していたためとしていたが、民間検査機関を利用すれば可能であった。当初はこれほどの発症があるはずはないと判断を誤ったのであろう。

② 乗客を個室にいるよう2月5日に指示した後、2週間経過して発症しなければ下船させるよう考えたが、船室によっては窓のない部屋もあり、外に出られないことの精神的、肉体的な苦痛を考えていなかったのではないか。狭い船室内でシーツの交換もせずに、自由に廊下にも出られないことの苦痛は考えてなかったのだろうか。また、防護服を着用してない、各室に食事などを運ぶ、ウイルスに晒されている可能性の高いルームサービスの船員を介してウイルスが伝播されることは当然考えに入れるべきだったのではないか。そう考えると、乗客よりも、全船員のPCR検査を先んじで行うべきだったのではないか。重大な瑕疵があったと言えよう。

③ 船内で「清潔」、「不潔」の区分けが適切であったか疑わしい。つまり、医務室に出向くために廊下を移動していればウイルスに晒されることは自明であり、神戸大教授のこれらに関する指摘に対し、厚労副大臣がSNSに掲載した画像を見れば、入り口は別れていても、その先は別れてないのでは意味がない。国会で男女関係と海外出張を糾弾されている大坪女史が、国会で糾弾されることを避けるようにしてなぜかクルーズ船内の仕事につくそうだが、まるで話題のコネクティングルームもどきではないか。

④ 多数の下船直前に二人の80歳代の乗客が死亡した。高熱をだし、苦しんでいるにも関わらず、すぐに下船させて然るべき医療機関に搬送し治療すれば亡くならずに済んだかもしれない。なぜ発熱から10日間も船内に留め置いたのか。ここでも重大な瑕疵があったように思われる。

⑤ 検査結果が陰性の乗客は下船したが、下船後日本人をはじめ米国、豪州、イスラエル人のPCR検査が陽性だった。政府は、陽性結果が出たひとは、乗客を個室に留め置いた2月5日前に発症していたと判断していたらしいが、これも甚だ疑問がある。つまり、陽性患者がいる船内で2月5日以降にウイルス感染しない保証はなかったのである。

  厚労省がそう考えた根拠は、政府が用意したチャーター機で感染地の中国湖北省武漢市から帰国した人たちのデータである。チャーター便の帰国者は症状の有無などにかかわらず全員がウイルス検査を受けている。1~3便で帰国した人のうち潜伏期間を考慮した健康観察期間中に症状がなかった人は、期間終了後の検査で1人を除く540人が陰性だった。陽性の1人もウイルス量が陰性に近かったという。
  厚労省はチャーター機の帰国者の検査結果について「精緻な疫学的エビデンス」と評価し、2月5日以降はチャーター機の帰国者が過ごしたホテル三日月と同様の感染防止策が船内でとられており、感染は広がっていないと判断。また、下船後に公共交通機関などを利用しても問題ないとした。

  だが、ホテル三日月の従業員は誰ひとりとしてコロナウイルスと関わりを持ってなかった。一方、クルーズ船内には陽性反応の人が複数いたのではないか。PCR検査が陰性だった人はデッキなどを移動できる状態だった。陰性反応の後に陽性に転じる可能性もあったことを考えれば、どこが「精緻な疫学的エビデンス」なのだ。政府の判断は明らかに誤っていた。

 下船直前に全員の再検査をし、そこで陰性だった乗客を下船させるべきだったのではないか。この日本政府の判断をよしとしなかった米国を始め、自国の航空機で自国民を搬送した国では、それぞれ帰国後2週間は隔離して判断するという、当然の検査を行っている。

  下船後、帰宅後に症状が現れ、PCR検査が陽性になった人が出た。彼女の場合、15日に検査をしたが、22日に発症したのだ。下船直前に検査をしていればこうした事態は避けられただろう。明らかに船内感染が起こっていたことの証左だろうし、今後も同様の発症事例がでてもおかしくない。
  このことだけでも、政府の思い込みの誤りから、「第2の武漢」だなどと海外から揶揄されるような、日本に対する信頼失墜ということがあってはならない結果を引き起こしているのである。

⑤ 未知な感染症に対し、新型コロナウイルス感染症対策本部の設置が迅速に行われたとは言えない。対策本部が設置されたのは1月30日だった。当日の状況は、中国での発症数7711人、死亡170名、日本国内では1月15日に初の発症、30日には9人が発症している。
 その第10回対策会議に文科、環境、法務大臣は、緊急性があるとは到底思えない「他の用事」で欠席している。特に小泉環境大臣は、地元の新年会に出席のためというから、人命が失われ見通しの利かない、国難ともいえる事態への認識が甘すぎる。国会で問われても、反省はするが陳謝はしない。耳障りのいい言葉を並べていたが、政治家としての地が見えてきた感を強くした国民は少なくあるまい。国民の命より自分の選挙区を大事に考えている。大臣がこの程度では国民は救われない。政府の今回の事態に対する認識が甘すぎることは腹立たしい。これでまた、現政権は国民からの信頼を失っていることに気づいているのか。

⑥ 発熱など肺炎を発症した人との濃厚接触者であった乗客23名は、2月5日以前に検査したものの、その後検査を受けずに下船したという。また、41名の厚労省職員も検査を受けてないというがどういうことなのか。そのうちの25名は下船後厚労省で勤務していたという。
  また、症状のない検疫官は検査の対象としないそうだ。「検疫官は専門的知見を持ち、対策をできるから」としているが、現に検疫官が発症しているではないか。発症数を増やしたくないのか。自分たちは例外だと思っているのか。症状が出てなくても感染さている例があること矛盾している。

⑦ 今はコロナ肺炎の発症を最初限にするための努力が望まれる。そのためには、コロナ肺炎が疑われる患者に、民間医療機関でも健康保険を使ってPCR検査を受けられるようにすることだ。重篤になる前の手立てが最善の策である。
  厚労大臣はPCR検査が、3,800件余(この数は新型コロナ肺炎のみならず他の病気の検査も含むそうだ)しかできないと言っているが、呼吸器専門医の報告によると、事業規模が5番目程度の民間検査機関でも一日に1,500の検査は可能と聞く。すべての民間事業者を利用すれば一日に1万件余りは検査可能という試算がある。厚労省は、爆発的な検査の要望があっては、と思って発表しているのか。民間事業者に任せたくない理由でもあるのか。国民に説明すべきである。韓国では一日に4000件の検査を行っていることを政府は知っているのか。

  ここ数週間が日本存亡の重大な時期であることを自覚し、全国民は言うまでなく、特に政府は真剣に取り組んでもらいたい。PCR機器が不足しているなら、海外から早急に購入すればいい。ミサイルや戦闘機を購入する予定の予算をまわせば済むことである。国家予算は目の前の国民の命を救うことに使うべきである。

⑧ MARS、SARSとともにコロナウイルスの原因が中國の野生動物などの食習慣が原因であるなら、中国の習主席来日の際、首相はこれを避けるべきことを話題にしてもらいたいものである。今回と同じような事態は元を絶たなければ今後何度でも起こりうることである。

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