親の責任を果たせ |
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2007年01月28日(日) 全国の児童生徒の約1%にあたる10万人近くが05年度に給食費を滞納し、滞納総額は22億円余りになることが24日、文部科学省による調査でわかった。滞納がある学校は全体の約44%。滞納の理由について学校側は、60%の子どもについて「保護者としての責任感や規範意識」の問題、約33%については「経済的な問題」と見ている。05年度の月額給食費平均は公立小学校約3900円、中学校約4500円である。現場からは、不況や貧困など経済的な問題を背景にした「払えない」だけではなく、規範意識の低下で「払わない」ケースが多いとの声も漏れる。都道府県別では、沖縄(3.8%)、北海道(1.4%)、宮城(1.1%)、岩手(1.0%)などの滞納率が高かった。因みに群馬県は0.6%であった。滞納が「増えた」と感じている学校は49.0%で、「変わらない」(39.2%)、「減った」(11.8%)を上回っている。 給食費未納の内、33%の経済的問題については『公立の小中学校で文房具代や給食費、修学旅行費などの援助を受ける児童・生徒の数が04年度までの4年間に4割近くも増え、受給率が4割を超える自治体もあることが分かっている。東京や大阪では4人に1人、全国平均でも1割強に上る。経済的な理由で子どもの学習環境が整いにくい家庭が増え、地域的な偏りも目立っている(朝日新聞の調べ)』。格差社会が見えてくる。この場合、就学援助が受けられる制度がある。これは『経済的理由により就学が困難であると求められる学齢児童生徒の保護者及び特殊教育諸学校(盲学校・聾学校・養護学校)の児童生徒の保護者に対し、国及び地方公共団体が就学に要する諸経費を援助することである。就学が困難な者とは、生活保護法による要保護者及び準要保護者で、援助の内容としては、学用品若しくはその購入費、修学旅行費、給食費、学校災害共済掛金、医療費。なお、生活保護の教育扶助との重複給付は認められていない。』となっている。 問題は「保護者としての責任感や規範意識」に問題のある60%である。給食費未納の理由が信じがたいものである。『「経済的に苦しいから」と、未納の言い訳をしながら高級車を乗り回し、贅沢品を購入している保護者もいる。「子どもに携帯電話を持たせて月々1万円以上払っているのに、給食費を払わない」。「当事者の子どもは"携帯型ゲーム機を買ってもらった"、"カラオケに行った"などと話している。「払いたくないから」。「義務教育だから払わない」。「給食費が未納なのに海外旅行の土産を持ってくる」』などというものがあるという。教師らの督促に対して、「給食にしてくれと頼んだ覚えはない」「うちの子の給食を止められるものなら止めてみろ」などという訳の分からない逆ギレする保護者もいるというから、あきれてものをいう気にもなれない。これでは教師はやっていられない。 これらに対し、法的措置をとったり給食費を納めるため、連帯保証人とした納入「確約書」を提出させているところもあるが、「先生が借金取りに来たかなどと言われる」「先生も大きな精神的な負担を感じている」「学校での対応は、限界だ」という教育現場で起こっているいじめ、自殺問題に加えて深刻な問題になっている。神奈川県城山町立相模丘中学では、保護者が回収に協力し、給食費の集金袋を教室の入り口で受け取るようにしたところ、滞納額が激減したという。給食費の徴収を銀行振り込みにしていることの副作用があるらしい。顔が見えないで済むようなやり方が、訳の分からない親を増長させているといえるだろう。未払いのつけは、品数や量が減るというような献立に直接影響を与えていたり、他の学校予算を流用せざるを得ない事態に至っているから深刻である。正直者が馬鹿を見るようなことは許せない。 ある新聞に掲載された暴論。『給食献立に選択の自由はない。宗教上の禁忌や健康食材に拘る家庭の意向も無視される。なぜ画一的な食事を強制されるのか。・・・・・・・なぜ給食でなく弁当では駄目なのか。関係組合が反対するからか。日本だけが類例のない制度を続けている。強制的に献立を押し付け、実費を取り立てる。いわば義務給食。どう考えても、美しい制度ではない』。こうした考えが給食費未払いの親たちの代弁なのか。参考までに調べてみると、英、米、仏、韓国ではいずれも給食費は保護者負担である(文科省資料による)。 ある新聞の社説のタイトル『給食費問題 教育再生は親からだ』にまったく同感である。「食べたものの支払いをする」ことすらしようとしない親は我が子に対してどのような言い訳をするのか。それが子どもに対してどのような影響を与えるか考えてみたことがあるのか。教師、学校関係者にここまで負担をかける必要がどこにあるのか。子どもを取り巻く諸問題を教員や教育現場だけで解決できると思う愚を思わずにいられない。 朝食さえ食べさせない親がいる中で、学校給食をやめる必要は全く感じない。知育、徳育、体育に加え食育が求められていることを知らなければなるまい。 |
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