日々の抄

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 クラスター爆弾禁止条約が発効する

2010年2月18日(木)

クラスター爆弾を禁止する条約である「クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)」を批准した国が、2月16日、発効に必要な30か国に達し、ことし8月1日から発効することになった。市民主導の軍縮条約が発効するのは、対人地雷禁止条約(オタワ条約)以来11年ぶりであるが、今回の発効が全面軍縮に近づくことになり,歓迎すべき事一歩である。
 日本は、すでに去年7月、条約を批准。本年1月25日に署名104か国、批准27か国だったが、ブルキナファソ、デンマーク、モルドバが批准に加わり30か国、署名104か国に達した。

 クラスター爆弾は、1回の投下で数百もの小型の爆弾を飛び散らせるもので、より多くの人々を殺傷する能力をもつだけでなく、戦闘が終わったあとも多くの不発弾が残り、人々に深刻な被害を及ぼすことから、非人道的な武器である。
 「クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)」は、不発弾が市民に被害をもたらすクラスター爆弾の使用や保有、製造を全面的に禁止するものであり、国連の潘基文(バンギムン)事務総長は「クラスター爆弾によって子供を含む多くの市民の命が奪われてきた。国連は爆弾の使用、貯蔵を終わらせるよう職務を遂行する」との声明を発表。
 クラスター爆弾は、ベトナム戦争(1960−75年)、フォークランド紛争(82年)、湾岸戦争(91年)、コソボ紛争(99年)、アフガニスタン攻撃(01年)、イラク戦争(03年)、レバノン紛争(06年)などで使用されてきた。
 


 「クラスター爆弾禁止条約」が発効されるものの,英国やイタリアなど加盟国でも未批准の国は残り、クラスター爆弾を大量に持つ米国、ロシア、中国やイスラエルが未加盟であるのはどういうことなのか。批准した30カ国は残酷な兵器による被害を終息させるために大きな役割を担ったことが後世に名を残すことになるに違いない。
 その一方で,大量の殺戮兵器を所持し、条約を批准しようとせず、自国の利益のみを優先し、今後も罪なき人びとを大量に殺戮しようと思っている国々は恥を知るべきである。約10億個を保有する米国をはじめ,フランスを除く国連常任理事国の責任は大きい。残酷兵器を保持しながら、「軍縮」を語る国の滑稽さは哀れである。これからの世界は,同条約を批准しようとしない国々の発言権,影響力が小さくなっていくことを確かめていかなければなるまい。いかなる名においても,核兵器を含め,大量殺戮兵器がこの世からなくなることを願うのみである。

 殺されるために生まれてくる人はいないはずである。ひとりを殺すと犯罪者になり,国の裁きを受ける。一方,殺戮兵器での大量殺人は裁かれない。寧ろ戦に勝てば英雄として歴史に名を残している。この矛盾をなんと考えるのか。殺人に大義はあってはならない。クラスター爆弾を放棄しない国々は,「自国に都合のいい正義」を言い訳にした殺人集団になりうることを知るべきである。

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 クラスター爆弾について、拙HPの、「人道的兵器などありえない」、「汝殺める事勿れ」で記しているので詳細についてそれらを参照されたい。

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