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【26】 クォーク(quark)
1.素粒子(elementary particle)
物質の構成要素と考えられる粒子を素粒子という。素粒子はゲージ粒子(光子など),レプトン(電子の仲間),ハドロン(陽子,中性子,中間子など・・クォークからなる)に大別される。
素粒子が調べられたはじめは,電子(1897年),光,陽子(1915-1919年)に続いて中性子(1932年),中間子仮説(1935年),μ中間子(1937年),π中間子(1947年)などの発見により素粒子の崩壊,生成機構,量子論の完成であった。その後いろいろな中間子が発見され,相互作用が下表のように分類されることがわかった。
力 | 強さ | 作用半径 | ゲージ粒子 | 対象 |
万有引力 | 10−40 | ∞ | 重力子(グラビトン) | |
電磁力 | 10−2 | ∞ | 光子(フォトン) | 核と電子間 |
強い力 | 1 | 10−13cm | グルーオン | ハドロン間 |
弱い力 | 10−5 | 10−16cm | W±,Z0 | β,πメソンなどの崩壊 |
続いて,素粒子の対称性,素粒子の色つきクォークをグルオンを通しての量子色力学が考えられ,1964 年にゲルマン(M.G.Gell-Mann1929-)らによってクォーク理論が考えられ,1960年代末から統一場理論が考え出されてきたが未だ結論を見ていない。
素粒子の分類
※ 素粒子は表記の他に現在では約200種類が確認されている
族 | 名 称 | 粒子 | スピン | |||
レ プ ト ン |
e(電子)ニュートリノ | νe(電荷0) | 1/2 | 1931パウリ,フェルミ発見。中性微子。質量ほとんどなし。弱い相互作用しかないので物質を透過する。 | ||
μ(ミュー)ニュートリノ | νμ(電荷0) | 1/2 | ||||
τ(タウ)ニュートリノ | ντ(電荷0) | 1/2 | ||||
電子e | e−(電荷−e) | 1/2 | e−は1897トムソン,e+は1932アンダーソン | |||
ミューオン(ミュー中間子) | μ−(電荷−e) | 1/2 | 1947パウエル | |||
τ(タウ)粒子 | τ (電荷−e) | 1/2 | 1975パール | |||
ハ ド ロ ン |
バ リ オ ン |
陽子 | p(電荷+1) | 1/2 | uud | 1919ラザフォード,反陽子1955セグレ |
中性子 | n(電荷0) | 1/2 | udd | 1932チャドウィック | ||
ラムダ粒子 | Λ0 | 1/2 | uds | 1949-59パウエル,アンダーソン | ||
シグマ粒子 | Σ+ | 1/2 | uus | |||
Σ0 | 1/2 | uds | ||||
Σ− | 1/2 | dds | ||||
グザイ粒子 | Ξ0 | 1/2 | uss | |||
Ξ− | 1/2 | dss | ||||
デルタ粒子 | 凵{+ | 3/2 | uuu | |||
凵{ | 3/2 | uud | ||||
凾O | 3/2 | udd | ||||
凵| | 3/2 | ddd | ||||
オメガ粒子 | Ω− | 3/2 | sss | |||
中 間 子 ∧ メ ソ ン ∨ |
パイ中間子 | π0 | 0 | の組み合せ | 反粒子π−, 1940ケンマー(理) | |
π+ | 0 | 1936アンダーソン | ||||
K中間子 | K+ | 0 | ||||
イータ中間子 | η0 | 0 | の組み合せ |
※ハドロンとは「強い粒子」の意味。電磁力,重力とは別の力の相互作用がある。2つの核子の一方が中間子を出し,他方が吸収するという交換過程が頻繁に起こるために,核力が電磁力に比べて強い。レプトンは軽粒子。2. クォーク(quark)とレプトン(lepton)
加速器を使った実験によって,ハドロン(Hadron)はフレーバー(香り)と呼ばれる量子数で分類される6種類のクォーク粒子からなり,ハドロンは3つのクォークからなるバリオン(baryon),1つのクォークと1つの反クォークからなるメソン(中間子)に分類される。例えば陽子は2つのアップクォークと1つのダウンクォークからなり(uud),中性子は1つのアップクォークと2つのダウンクォークからなる(udd)。その他のハドロンとクォークの組み合わせは上表を参照のこと。
下表にクォークの電荷を示すが,ハドロンの電荷は電気素量の整数倍か0になっている。クォークは単独での存在は確認されてない。
レプトンはクォークと同じく6種類あるが,内部構造を持たずクォークと同じ基本粒子と考えられている。
クォーク | |||
クォーク | 電荷(e) | スピン | 世代 |
u (アップ) | 2/3 | 1/2 | 1 |
d (ダウン) | -1/3 | 1/2 | 1 |
c (チャーム) | 2/3 | 1/2 | 2 |
s (ストレンジ) | -1/3 | 1/2 | 2 |
t (トップ) | 2/3 | 1/2 | 3 |
b (ボトム) | -1/3 | 1/2 | 3 |
※ クォークの語源は,ジョイスの抒情詩に「・・アイルランドの美しい王妃イゾルデがアルケ大王に嫁ぐとき,・・・波止場から船出しようとするとき不思議な鳥が現れて,クォーク,クォーク,クォークと3回鳴いたという・・・・」。3つの不思議な粒子(第一世代クォーク)の名前には,この不思議な鳥の鳴いた数が相応しいとしてクォークとしたという。
21電子と光
問132 磁場中の電子の運動
真空中で静止していた電子が電圧V[V]で加速され,原点Oを通って,磁束密度B[Wb/m2]のz方向に平行で一様な磁場へ入射した。電子の質量をm[kg],電荷を−e[C]として,以下の問いに答えよ。
(1) 磁場中での電子の速さv を求めよ。
(2) 図のように,電子はx 方向に入射したのち,磁場中で円軌道を描きy 軸上の点Pに達した。次の問いに答えよ。
(a) 紙面に対する磁場の向きを示せ。
(b) 距離OPを求めよ。
(3) 電子が原点Oを通過するとき磁場と30゚の角をなす方向へ入射した場合について,次の問いに答えよ。
(a) 電子はどのような運動をするか。
(b) 電子が原点を出てから,ふたたびz 軸上のある点Qを通るまでの時間と距離OQを求 めよ。
問133電磁場中の陽子の運動
図のような装置が真空中に置かれている。座標軸とその原点Oを図のようにとる。z軸の正方向は紙面に垂直に裏から表向きである。イオン源で作られた初速度0 の陽子(電荷+e,質量m)は,電圧V0のかかっている加速電極によりx 軸上を加速される。陽子は一様磁界(磁場)(T),一様電界(電場),一様磁界(U)により曲げられ,蛍光板により観測される。図中の曲線aは陽子の軌道の一例を示したものである。一様磁界は図中の破線で囲まれた2つの領域にかけられ,いずれの領域でも,x 軸方向の長さはl1,磁界の方向はz軸の負方向,磁界の強さは磁束密度Bである。一様電界は,x軸に平行に置かれた長さl2,間隔d の偏向電極に電圧V1をかけることにより図中の点線で囲まれた領域に作られる。電極の極性は上側が正である。一様磁界と一様電界の領域は距離sだけ隔てられている。陽子は−d/2≦y≦+d/2の範囲のみを運動するものとし,また陽子にはたらく重力の影響は無視できるものとする。以下の問いに答えよ。
(1) 加速電極を出たときの陽子の速さu0をe,m,V0を用いて表せ。
(2) 一様磁界(T)を出た位置(x=l1)で陽子の速度がx 軸となす角度をθとして,sinθをe,m,u0,l1,Bを用いて表せ。
(3) 一様電界の中を半分進んだ位置(x=l1+s+l2/2)での陽子の速度のx成分wxとy 成分wyをe,m,u0,θ,l2,d,V1を用いて表せ。
22波動性と粒子性
問134 光電効果
ナトリウムを陰極とする光電子管を用い,図1の回路を作り光電効果の実験を行った。以下の問いに答えよ。ただし,光速度c=3.0×108m/s,電気素量e=1.6×10-19Cとする。
(1) 波長3.0×10-7mの紫外線をあてながら,AB間に一定電圧をかけたところ,回路に1.6×10-6Aの電流が流れた。
陰極Aから陽極Bに達する電子の数は毎秒何個か。
(2) AB間の電圧を変えながら光電流を測定すると,図2のようなグラフ(I−V 曲線)が得られた。陰極から飛び出す光電子の最大運動エネルギー[eV]はいくらか。
(3) 光の波長を変えずに光の強度を強くすると,図2のI−V 曲線はどう変わるか。下中央の図に書き込め。
(曲線の変化は定性的でよい。)
(4) あてる光の波長を変えながら(2)と同様の実験を行い,それらの結果から図3を作成した。図より,ナトリウムの仕事関数[eV]とプランク定数[J・s]を求めよ。
(5) ヘリウム・ネオンレーザーの光(波長6.3×10−7m)をこの光電管にあてるとき,光電効果は起こるか。
問135 電子波の回折
真空中で金属線を2000゚C程度に加熱すると,金属線より電子の放出が起こる(これを熱電子放出という)。この電子を電場で加速した後,結晶に照射させる。電子は粒子的性質とともに波動としての性質を持つため,結晶中の原子によって回折を起こす。この現象について以下の問いに答えよ。必要に応じ,つぎに与える数値を用いよ。電子の質量m=9.1×10−31[Kg],電気素量e=1.6×10−19[C],プランク定数h=6.6×10−34[J・s]
(1) 電子が波動として振る舞うときの波(電子波)の波長λは電子の運動量p とプランク定数hで表される。この関係式を次元解析より導くことにする。
長さ,質量,時間の次元をそれぞれL,M,Tとしてλ,p,h の次元を表せ。
(2) λ=α pX hYとおいてXとYの値を定めよ(αは無次元の係数である)。結果を導出する過程も記すこと。αはこの解析からは定まらないが,波動性と粒子性に関する多くの実験事実はα=1としてよいことを示している。
(3) 熱電子の初速度を0[m/s]として,電位差V[V]で加速された電子の運動量p をm,e,Vを用いて表せ。λ=4.0×10−11[m]の電子波を得るためには,何ボルトで加速すればよいか。有効数字2桁で答えよ。
結晶に入射した電子波は結晶中を直進するが,結晶中の原子によって散乱を受ける。散乱された電子波は原子を中心としていろいろな方向に進んでいく。1つの平面上にある多数の原子から散乱された電子波に注目すると,これらは互いに干渉して,この平面波を鏡面と考えたときに入射波の方向に対して反射の法則を満たす方向で強め合う。このことは原子を含む平面が入射波に対して鏡面のように作用することを示している。この様な平面を結晶面または格子面というが,結晶中には注目した結晶面と平行なたくさんの結晶面があり,そのそれぞれの結晶面は入射波を同じ方向に反射させることになる。隣接した2つの平行な結晶面から反射された電子波は互いに干渉して強め合うことになる。このように,電子波の入射方向と結晶の原子の並び方に関連して定まる特定な方向に散乱された電子波が進むことを,結晶による電子線回折と呼んでいる。
(4) 図は結晶の原子位置と電子波の入射方向(X軸方向)を表している。○印はxy面上の原子位置であり,z軸方向にも原子は間隔aで周期的に並んでいるとする。Aは紙面に垂直な結晶面であり,それに平行で隣接した結晶面をA'と表す。2つの面は距離d だけ隔てられている。θは結晶面Aと入射方向がxy面内でなす角である。PからQに向かって進行してくる電子波は結晶面AでQQ'方向に結晶面A'ではRR' 方向に反射される。点線は反射波の波面を表している。QQ'
とRR' 方向に進む2つの電子波に生じている行路差をd とθを用いて表せ。また,この方向で電子波回折の起こる条件を示せ。
(5) 格子定数がa=2.0×10−10[m]の結晶に(3)で得た電子波を照射させたところ,結晶面Aとそれに平行な結晶面によって電子線回折が観測された。結晶面AとA' で反射を受けた電子波の間に生じた行路差は波長の何倍か。
(6) このとき,結晶面Bとそれに平行な結晶面によっても電子線回折が観測される。
(@) 電子線回折が観測される方向を述べよ。
(A) 結晶面Bとそれに平行で隣接する結晶面で反射を受ける2つの電子波に生じている行路差は波長の何倍か。
問136 X線,電子線の回折
X 線は,真空管内で高い電圧で加速された電子が金属板に衝突するときに発生する。ある電圧の下で発生した X 線の強度と波長の関係 (スペクトル)
を調べたところ,1 図のような結果が得られた。このスペクトルは,最短の波長よりも長い波長が連続的に含まれる連続 X 線の部分 (1 図の A)
と,特定の波長に鋭く現れる固有 X 線の部分 (1 図の B と C) とから構成されている。後者は金属板の物質に固有のものであることが知られている。プランク定数h=6.6×10 -34 J・s,電子の電荷の大きさe=1.6×10 -19C,光速c=3.0×108 m/s,電子の質量m=9.1×10 -31 kg として,以下の問いに答えよ。有効数字は 2 桁とする。
(1) 実験で使用した電圧の大きさを求めよ。
(2) 連続的なスペクトルが発生する原因を説明せよ。
上記のX線から固有X線の C のみを取り出し,これを,2図のように原子列面の間隔が d である結晶に対して,原子列面にθの角度で入射させて,θ を変化させながら反射 X 線の強度 I を測定した。
(3) θ を 0゚から増加したとき,I が 4回目の極大を示した角度がθ=30゚であった。結晶の d を求めよ。
次に,前問と同一の結晶に対して,X 線のかわりに,電圧 V で加速された電子線を 2 図のように入射させて,V を変化させながら入射電子線の強度に対する反射電子線の強度の割合 R を測定した。
(4) 加速電圧 V と電子線の波長λe の関係式を示せ。
(5) θ を30゚に固定したとき,1 kV≦V≦2 kV の範囲においてR が極大は何回あるか。
23原子構造
問137ボーアモデル
ボーアの原子モデルについて次の問いに答えよ。
(1) 古典物理学で原子を説明するには矛盾点がある。どのような矛盾があるか。2つ挙げ説明せよ。
水素原子の核(陽子)は静止しているものとし,電子(質量m,電荷−e)は半径r の等速円運動をしていると仮定する。
(2) 静電気に関するクーロンの法則の定数をk として,電子の速さv をm,e,k,r を用いて表せ。
(3) 電子の波動性を考えると,電子の軌道の長さは電子の物質波としての波長の整数倍でなければならない。電気の軌道半径 r を正の整数 n,プランク定数h,m,e,k を用いて表せ。
(4) 水素原子のエネルギーをn,h,m,e,k を用いて表せ。
24原子核
問138放射性崩壊
経過時間[h] | 放射能の強さ[Bq] |
0 | 300 |
2 | 225 |
4 | 172 |
6 | 131 |
8 | 99 |
10 | 75 |
12 | 57 |
14 | 43 |
16 | 32 |
1896年,ベクレルはウランから物質をよく透過し写真乾板を感光させる何かが放出されていることを見つけた。この放出されているものを放射線といい,放射線を出す働きを放射能という。原子核は,[ア]
と[イ] とからできており,(ア)の数は原子番号に等しく, (ア)と(イ)の数を加えたものが[ウ]を表している。原子核には原子番号が同じでも(ウ)が異なるものがありこれを同位体という。同位体には安定なものと不安定なものがある。不安定な原子核には,放射線を放出して別の原子核に変わるものや,ほぼ半分の(ウ)をもった2個の原子核に核分裂するものがある。自然界にはヘリウムの原子核を放出する[エ]崩壊,電子を放出する[オ]
崩壊,およびエネルギーの大きい光子を放出する[カ] 崩壊がある。したがって,(エ)崩壊では,崩壊する原子核の原子番号が[キ] だけ変化し,(ウ)は[ク]だけ変化する。また,(オ)崩壊では原子番号が[ケ]だけ変化し,(ウ)は変わらない。(カ)崩壊では崩壊の前後で原子番号も(ウ)も変化しない。
放射性崩壊では,崩壊する原子核の数が半分になる時間を半減期といい,原子核の種類によって決まっている。
また,放射性原子核の単位時間あたりに崩壊する数は,放射性原子核の数N(個)に比例する。放射能の強さは,単位時間当たりの崩壊数(崩壊率)で決められ,毎秒1個の割合で崩壊する放射能の強さを1Bq(ベクレル)という。
いま,1種類の同位体が金属板上に薄く塗布されているもの(線源という)がある。その放射能の強さ,同位体の数,および半減期も不明であるが,β崩壊する同位体であることが分かっている。この線源の放射能の強さおよび半減期を測定する実験をおこなった。
(1) [ア] から[ケ] に適当な語句,記号または数字を入れよ。
(2) 放射線検出器を用いて同位体の放射能の強さを2時間おきにその値がはじめの約になるまで測定を行った。測定された放射能の強さは表1のようになった。放射能の強さを縦軸に,時間を横軸にとって測定結果を図に
・ 印を用いて記入し,放射能の減衰を示す曲線を描け。
(3) 放射能の強さがはじめの およびになるまでの時間はいくらか。(2)で描いた曲線から有効数字2桁まで求めよ。
(4) 同位体の半減期をT(h),はじめの放射能の強さをA0(Bq)とすると,t(h)後の放射能の強さA(Bq)はどのように表されるか。
(5) 放射能の強さはそのときに存在する同位体の数N(個)に比例することがわかっている。実験開始時の同位体の数をN0(個)として,NとN0はどのような関係にあるか。(4)の結果を用いて示せ。
25核分裂核融合
問139核分裂
ウランやトリウムなどの原子核は,自然に放射線を出して[ア] や[イ] が異なる原子核に変わっていく。このように自然に放射線を出す元素を[ウ]といい,このような性質を[エ]
という。(ウ)が放射線を出して他の原子核に変換することを[オ]といい,このときに放出される放射線には,α線やβ線などがある。α線は[カ]の流れであり,β線は[キ]の流れである。
天然ウランの大部分は,核分裂を起こさないウランであり,その原子核は,陽子[ク]個,中性子[ケ]個からなる。ウランが,α線とβ線を1回ずつ放出すれば,(ア)が[コ] ,(イ)が[サ] の元素になる。核分裂を起こすウランの存在比は,天然ウランのわずか0.7%にしか過ぎない。このようなウランを濃縮・精製して,原子力発電の燃料として使用している。とのように(ア)が同じで,(イ)の異なる元素のことを[シ] という。ウランに中性子があたると,核分裂を起こして複数個の中性子を放出し,2つの原子核に分裂する場合がある。
その一例として, +→++3 ・・・・・@
のような核分裂反応がある。このとき,反応前のウランと中性子の質量の和は,分裂後のストロンチウム ,キセノン,中性子の質量の和よりも大きい。この質量の差を[ス] という。核分裂反応では,(ス)に相当するエネルギーが放出される。
(1) 文章中の[ア]〜[ス]に最もあてはまるものは何か。
(2) 中性子,およびストロンチウム ,キセノン,ウランの各原子核1個の質量を,それぞれ1.67×10−27Kg,154.28×10−27Kg,
232.34×10−27Kg,390.29×10−27Kgとしたとき,@式の核分裂反応によって1個のウラン原子核から放出されるエネルギーはいくらか。真空中の光の速さを3.0×108m/sとせよ。
問140核反応
n | 1.00866u |
10.01019u | |
7.01435u | |
4.00150u |
中性子n,および原子核 ,,の質量は,原子質量単位(記号u)を使うと,表のような値をもつ。また,質量1uに相当する質量エネルギーは9.31×102MeVである。
さて,速さがほとんど0 の中性子n を,静止している原子核に衝突させ,次のような原子核反応を起こさせる。
n+ → + ・・・・・・(A)
これについて次の問に答えよ。ただし,入射中性子の運動エネルギーは無視してよい。また,数値は有効数字2桁まで求めよ。
(1) 反応(A)で放出されるエネルギーの値をMeV単位で答えよ。
(2) 放出されるエネルギーはすべて運動エネルギーになるとして,原子核およびの運動エネルギーの値をそれぞれ求め,MeV単位で答えよ。
(3) 反応(A)が,一様な磁界の存在する真空中で起こったとする。また,磁界の方向と,原子核の初速度の方向とは互いに垂直であるとする。
このとき,原子核およびは,それぞれ,一定の半径をもつ円軌道上を運動する。
原子核の軌道半径をa,原子核の軌道半径をbとし,b/aを求めよ。
つぎに,これらの軌道の図を書け。その際,磁界の方向は紙面に垂直で,紙面の裏から表に向かうものとする。なお,両軌道の出発点を×印で,そして進行の向きを矢印で明示せよ。また,それぞれの軌道に対する原子核の記号を記入せよ。ただし,原子核はすべて,電子を伴っていないとする。
問141核融合反応
重水素の原子核と三重水素の原子核を約10KeVまたはそれ以上の運動エネルギーで衝突させ,核融合反応を起こし,この核反応で放出させる核エネルギーをエネルギー源として利用することが考えられている。以下の核融合反応に関する問いに答えよ。
[ ] 内には該当する記号あるいは用語を入れよ。
(1) この核融合は次のような核反応で表される。
+ → [ア] + ( は中性子である)
(2) この核反応により,反応後の原子核の質量の和は,反応前の原子核の質量の和より,0.019uだけ減少する。この減少は[イ] とよばれる。
ここで,1u=1.66×10−27Kgである。
(3) アインシュタインが1905年に発表した[ウ] 理論によると,質量とエネルギーは同等であり,エネルギーをE,質量をm,真空中の光の速さをc とするとこれらの間には[エ] の関係が成り立つ。
(4) 前問(2)の質量の減少(差)に相当するエネルギーを計算し,〔J〕および〔eV〕で示せ。ただし,光の速さはc=3.00×108(m/s)であり,
1eV =1.60×10−19Jである。
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