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【1】物理量
1−1 基本量:長さ,質量,時間
国際単位系(System International)により以下の7種類の単位が決められている。
長さ(m),質量(Kg),時間(s),温度(K),電流(A),照度(cd=カンデラ),物質量(mol)
長さ1mの定義:光が1/299,792,458秒間に真空中を進む距離(1983年)
質量1Kgの定義:パリ郊外セーブルの国際度量衡局に保管されている国際キログラム原器
(Pt90%,In10%合金)の質量と定義される。
時間1秒の定義:現在の定義は
〈セシウム133の原子の基底状態の二つの超微細準位間の遷移に対応する放射の9,192,631,770周期の継続時間〉。
(1967年に決められ,さらに1977年に地球のジオイド面上のセシウム133を基準とすることとなった。
以前は→暦表時1900年1月1日12時における地球の公転の平均角速度に基づき算出した1回帰年の31,556,925.9747分の1
(1956年国際度量衡委員会,日本採用は1958年)。それ以前は1平均太陽日の86,400分の1とした)
諸量の概数
質量の近似値(Kg) 長さの近似値(m) 時間の近似値(s)
─────────────────────────────────────
太陽 2×1030 1光年 9.46×1015 宇宙の年齢 5×1017
地球 6×1024 地球の平均半径 6.4×106 地球の年齢 1.3×1017
月 7×1022 赤色の波長 7×10-7 1日 8.6×104
水素原子 1.67×10-27 水素の直径 1×10-10 核子の衝突時間 1×10−22
電子 9.11×10−31 原子核の直径 1×10−14 可視光の周期 2×10−15
1−2 有効数字(significant figure) もっと詳しく
近似値や測定値を表す数字のうち,実用上有意義な桁数だけとったもので,
「測定結果など表す数字の内で,位取りを示すだけのゼロを除いた意味のある数値」である。
たとえば234.5gという測定値を得たとき,
有効数字を2桁とすれば3桁目以下を四捨五入し230gとなり2.3×102gと書く。
有効数字を3桁とすると4桁目以下を四捨五入し同じく230gとなるが,このときは2.30×102gと書く。
(真の値は229.9〜230.0gの範囲)
測定値の有意義な桁数は,測定可能な最小値の1/10までの桁数が原則。
有効数字を考えた四則演算
■ 加,減法:小数点以下の少ない桁まで(25.6+0.12=25.72=25.7=2.57×101)
25.E+0.1A=25.FA
O印のついた数字は誤差を含むが、25.6の小数第2位は不定で誤差を含む。
計算結果の 25.72 の小数第2位の2は誤差を含む数値になるから25.7が結果になる。
■ 乗,除法:有効桁の小さい桁数まで(25.6×0.12=3.072= 3.1)
右の計算で,O印のついた数字は誤差を含むが,25.6に2を乗じた第3行目の数512の各数にはすべて誤差が含まれる。
第5行目の3.072の72は誤差だらけなので、有効数字は7を四捨五入した結果の 3.1である。
■ 定数,無理数は計算式中の数の最小有効桁数+1桁を用いる。
2.3×6.83× の計算中のは(最小有効桁2.3の有効桁数2)+1=3桁の1.41とする。
1−3 測定値の処理
物理量(長さ,質量,電流など)を測定すると誤差が生じる。
測定値と真の値の差を誤差または絶対誤差という。
誤差と測定値との比を相対誤差という(普通%で表す)。
誤差=測定値−真の値
相対誤差=
精度のよさは相対誤差が適している。
誤差(原因による分類)(error)
@ 系統誤差(persistent error)・・・・・測定器具の不備,測定の読み取り間違い,癖,用いる理論の間違い。
A 偶然誤差(accidental error)・・・・・測定者が関知できない偶然の誤差。
対策 @ に対して 原因究明,器具改善,測定訓練
A に対して 誤差が正負で同等に現れることが多いので,測定回数を増やす。
1−4 有効数字の桁数と測定精度(accuracy)
測定値が a=48mmである場合,aは
47.5≦a<48.5 と考えられるから
誤差は±0.5mmなので,相対誤差は
×100 =1.0%
同様に a=48.7mmの場合は
47.65≦a<48.75 と考えられるから
誤差は±0.05mmなので,相対誤差は
×100 =0.10%
有効数字と相対誤差の関係は以下の通りで,「有効数字が1桁違うと測定精度が10倍違う」ことがわかる。
有効数字 相対誤差 1桁 5〜50% 2桁 0.5〜5% 3桁 0.05〜0.5% 4桁 0.005〜0.05%
【2】 次元(dimension)
2−1 次元
一般量の測定値が基本量(長さ,時間,質量)にどのような関係を示すかの指数
力学的量の基本量:長さはL,質量はM,時間はT
長さの単位はm,cm,Km,時間の単位は秒,分,時間があるが,これと次元は異なる
次元の例
例 面積S,体積V,速度v,加速度a,密度dの次元は何か
面積S :[S]=[L2],体積V:[V]=[L3],速度v: [ v ]=[LT−1]
加速度a: [ a ]=[LT−2]
密度d :[ d ]=[L−3M]
2−2 次元解析(dimensional analysis)
物理量の関係を示す等式の両辺が同じ次元をもつことを利用した方法
等加速度運動する物体の移動距離l は加速度aと時間tで与えられる。これを
l (a,t)=k a x・t y と書く。 ← 変数が何かを表す式
次元式 [ l ]=[ a ]x[t]y (kは無次元の定数) ← 次元式を作る
[a]=LT−2,[t]=T1だから [L1]=[LT−2 ]x・[T1 ]y
両辺の次元を比較して ← 両辺の次元を比較
長さ L:1=x,時間 T:0=−2x+y ∴ x=1,y=2
∴ l = ka1t2 実際は k=で ← 元の式に戻す
1-2 有効数字
問1 次の有効数字は何桁か@ 0.02, A 0.023, B 0.230, C 12, D 120 E 120.0, F
56.892
問2 有効数字を考えて,次の計算をせよ。
@12.54+4.678 A 0.003+100.2
B 25.1×8.2
C 2.0π×5.5 D (91.3−4.70)/2.5
2-2 次元解析
問3 単振り子の周期τ は糸の長さl と重力加速度g で与えられる。周期τ をl,gで表せ。
問4 等速円運動の加速度a は半径r,接線方向の速さvで与えられる。a を求めよ
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