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【3】  ベクトル(vector)とスカラー(scalar)
スカラー(scalar)
・・・・大きさのみもつ量  (長さ,距離,速さ,仕事,エネルギー,時間,質量,電荷)
ベクトル(vector)・・・大きさ,向き(方向)をもつ量 (変位,速度,加速度,力,運動量,力積)

P点からQ点まで移動した場合
移動距離は曲線(点線)の長さ       スカラー
変位は直線(実線)の向きと長さ       ベクトル



ベクトルの性質
ベクトル表記 のように表記する。
  ベクトルの加法  
  加法の交換       
  加法の結合則   +()=()+
  ベクトルの減法   +(−) 

     

ベクトルの和は,一般にはCAB である。
大きさは

質点(material point)とは,物体の大きさを無視し,全質量が1点に集まったと考えると,取扱いがたいへん簡単になる。このような仮想の点を質点という。  
物体の運動は1質点の運動で代表でき,距離に比べて物体の大きさがごく小さい場合(惑星運動など)は質点とみなせる。                                            
これに対して,力を受けても変形しない理想的な物体を剛体(rigid body)という。現実には存在しないが,力学で取扱いが簡単なのでこのような物体を考える。

【4】  運動を表す量  位置ベクトル速度加速度

■ 運動を表す量に,位置(変位),速度,加速度などがある。
■ 運動とは物体の位置が時間的に変化することである。物体の運動を記述するためには,位置座標と時間の関係を知ることが必要。また位置座標の時間に対する変化の割合である速度,速度の時間変化の割合である加速度の時間に対する変化を調べることが必要である。
4−1 位置ベクトル
物体の位置は,原点Oを決め,そこからの座標を表す。
直交座標系をとる場合

と表すことが出来る。



変位(displacement)
  「変位」は,「位置座標の変化分」を示すベクトルである。
  変位ベクトル は 始点(P点)と終点(Q点)の位置ベクトル の差に等しい。
     =          
                                       
                                                                       
                                                                         
                   

速さ(speed)
は,位置の時間的変化の割合
    平均の速さ      (4-1)
    瞬間の速さ     (4-2)
   右図でtt3t2t1と小さくしてxt グラフの傾きの大きさを求め,t を限りなく小さくすると,
  時刻t での(瞬間の)速さを求めることができる。
   速度は, 変位ベクトルの時間的変化の割合

  速さと速度は異なる。直線上を右に一定の割合で2[s]に1[m]進み,
  1[m]もどる場合,
     平均の速さ=(1+1)/2=1[m/s],平均速度=(1−1)/2=0[m/s]

4−2 速度(velocity)                                                                            
  速度は, 変位ベクトルr の時間的変化の割合
  瞬間速度   (4-3)
  瞬間速度v xy 方向成分=

         物体を斜めに投げ上げた場合,常に速度の向きが                          速さは等しいが,速度が変わる運動の例
         変わっている例

                           

4−3 加速度(acceleration)
  加速度: 速度ベクトルの時間的変化の割合
  (速度の大きさを速さと呼ぶが,加速度の大きさに特別な名前はない)
  瞬間の加速度     (4-4)
  瞬間加速度axy方向成分  
  平均の加速度     (4-5)
       カーブを曲がる場合の加速度
                                              vt グラフの傾きが加速度


4−4 相対速度(relative velocity)  

Bに対するAの相対速度vBA(Bから見たAの相対速度)は
      vBAvAvB        (4-6)      で与えられる。      
相対速度は,(相手の速度)−(基準の速度)      
                         
 は+(−)から    に基準ベクトル を逆向きに加えることになるが「目玉の方法」が簡単
@ ベクトルの始点を揃える
A 基準ベクトルの矢に「目玉」をつけ,
    「目玉」から相手のベクトルの矢に向けてベクトルを作る。       これが である。                            

例1 風のない日に速さvで鉛直下方に向かって降る雨を,等速度V で水平に動く電車の中から見た相対速度の大きさ,向きを求めよ。

速度vV の始点を揃えてV の矢印からv の矢印に向けて描いたベクトルが,電車の中から見た相対速度である。
     その大きさは,その向きは,図の角度をθ とするとを満たす。


例2 水平方向に一定の速さv で進む気球から小球を気球に対して鉛直上方に速さv0で投げあげた(投げ上げた後も気球は水平に動いている)。地上で静止した人Aが見た軌跡,気球の中の人Bが見た軌跡を描け。

地上の静止した人Aが小球を見ると水平にv,鉛直上方にv0で動き出すので斜め上方への投げ上げ運動(放物運動),気球の中の人Bが見ると人Bも常に水平方向へ速さv0で動いているから,水平方向には動かず鉛直方向にv0で投げ上げた運動に見える。
変位,速度,加速度の測定例 <人間の歩行>



4−5  1次元の運動
 等加速度直線運動

加速度は
     で与えられる。
    t1=0,t2tv1v0v2v とすると
   である。← vt グラフの傾きが加速度
  これを書き直してvv0at   (4-7) → 下図@
     t1=0 のときx1x0とすると
   ←  vt グラフの面積が変位(*1参照)
  これに(4-1)を代入して
    (4-8) → 下図A
  (4-7)から       これと(4-8)から
        (4-9) → 下図B
  a>0 の場合のグラフ
   

  a=0 の場合は等速直線運動(等速度運動)である
    速度         ∴   xv t   (4-10)

(*1注) 
 vt に対して任意に変化する場合,微小時間tnの間のvt グラフ長方形の面積はで与えられる。
  0 から t (s)間の変位は vt グラフの下の面積  で与えられる。
 積分を使うと


  (4-7),(4-8),(4-9)式を微積分を使って求めると
  加速度 dvadt 積分して  
  a 一定,t=0で vv0とすると va tC1    ∴   C1v0   ∴   vv0at    (4-7)
  (4-7)を時間tについて微分すると
  速度   → dxvdt 積分して   
  vv0at から 
   t=0でxx0ならC2x0     ∴       (4-8)
  (4-8)を時間 t について微分すると v0at → (4-7)

図はある物体がx軸上を正の向きに動き出してから16秒後の速度と時刻の関係を示す。
    (1) 加速度と時刻の関係を図示せよ。
    (2) 変位と時刻の関係を図示せよ。

(1)右図1
(2)右図2
  
t=4  x=(1/2)×12×4=24[m]
  t=9  x =24+(9−4)×12=84[m]
  t =12 x =84+(1/2)×(12−9)×12=102[m]
  t =14 x =102−(1/2)×(14−12)×8=94[m]
  t =16 x =94−(1/2)×(16−14)×8=86[m]
  t =0〜4,14〜16[s]は下に凸の放物線
  t =9〜14[s] は上に凸な放物線
  t =4〜9[s] は直線


移動距離−時間グラフはどうなるかも考えてみよ。
(負の等加速度間の変位の大きさの和を考えればよい)


 


演習問題                     解答


3 ベクトルとスカラー
問5 静水中の速さv の船で,流速がV (<v)で幅lの川を,流れに直角に往復するに要する時間t と地面から見た船のさ uを求めよ。また船を進めるべき向きも求めよ。
 
問6 速さ v [m/s]で図の向きに流れている川の上を静水に対してc[m/s]の速さで進む船の運動について答えよ。

(1) 川岸に沿って船が l [m]だけ往復する時間t[s]を求めよ。
(2) 川岸に垂直に l [m]だけ往復する時間t2[s]を求めよ。
(3) t1 t2 とでどちらが大きいか。ただし,船の向きを変えるための時間は無視する。

問7 川幅が d [m]で,流速が v [m/s]の一様な流れの川がある。川岸の一点Aから l [m]川下に対岸B点に向かって一直線に船を進めたい。このとき,水に対する船の速さを最小にするためには

(1) 船の向きをどの向きに向けて漕げばよいか。
(2) この場合,船を静水に対していくらの速さで漕げばよいか。


4-4 相対速度
問8 東向きに80Km/hの速さで走る自動車Aを,同じ向きに100Km/hの速さで走っている自動車Bから見たときの速度を求めよ。
問9 速度uで真東に進む人がいる。風が真北に吹いてくるように感じ,速度を2倍にすると風は北東から吹いてくるように感じるという。風の真の速度を求めよ。
問10 一定速度の風が吹いているところを,北に向かって5.0[m/s]の速さで進んでいると,風が南西から吹いているように感じ,同じく北に向かって速さを20.0[m/s]にすると風が西から吹いているように感じた。

(1) 風の速さはいくらか。
(2) 風の速さの南北方向成分をv1,東西方向成分をv2としてv1v2の大きさを求めよ。

4-5 1次元の運動        
問11 A駅とB駅は一直線のレールで続いていて,レールに平行に自動車道路がある。自動車がA駅を通過すると同時に電車がA駅を動き出し,一様に加速して,電車は20[s]後に自動車を追い越した。右図はA駅を原点とし,出発したときを時刻t =0として時刻t [s]のときの電車と自動車のそれぞれの座標x[m]を示すグラフである。

(1) 自動車はどんな運動をしているか。
(2) 電車の運動の加速度はいくらか。
(3) 電車が自動車を追い越すときの,自動車の人が見た電車の相対速度を求めよ。

問12 x軸上を正の向きに直線運動する物体がある。はじめ静止していたこの物体が,時刻t=0[s]に加速度α [m/s2]の等加速度運動を開始した。この物体は速度v [m/s]に達した後,しばらくの間この速度で等速度運動 を行い,その後一定の加速度−β [m/s2](β>0)で減速して時刻 tT [s]にふたたび静止した。

(1) この間に物体が移動した距離l [m]を求めよ。
(2) 時間T を一定にして距離l を最大にするためには速度vをどのようにとればよいか。またそのときの距離l と等速度運動を行っている時間を求めよ。

問13 一定加速度で直線軌道を走る列車が,ある地点を通過したときの列車の前端の速度はv1,後端の速度はv2であった。

(1) 列車の中央の点が通過したときの速度を求めよ。
(2) 列車の前端から任意の距離x の点が通過したときの速度を求めよ。

問14 水平面(xy面)上を運動している小物体がある。時刻 t =0[s] に物体は座標の原点Oにあり,速度 v [m/s]のx成分vx,およびy 成分 vy と時刻 t [s]との関係は図のようであった。

(1) 時刻 t=1[s]のときの物体の速さは何[m/s] か。
(2) 時刻 t=3[s]のときの物体の加速度のx 成分は何[m/s2] か。
(3) 物体は動きはじめてから4[s]間に何[m]進んだか。
(4) xy の関係を示すグラフ(物体の運動の軌跡を表す)の概要を示せ。



解答




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